藍染とは何か。
藍染は藍草という草を使って着物を藍色に染める技術のことだ。
昔の着物はみんなこの藍によって染色されていたという。着物はみんな紺色をしていたことから、着物屋のことを「紺屋」と呼んでいたそうだ。今、東京・神田には紺屋町という地名が残っているが、あのあたりに紺屋(着物屋)が集中していたことに由来するらしい。
その後、関東大震災が起きて、神田の紺屋職人が墨田区に引っ越してきたらしい。そのことから墨田は染色の町として知られているそうだ。
「それが戦争が起こって当時の染色の技術屋さんもみんな機械で染色するようになって、いつの間にか人間の腕でやっているのは墨田区内でワシだけになってしまったんですわ」
と語る藤澤さん。ただ、別に感傷的な雰囲気ではなく、逆に唯一職人として生き残った自分を自慢したげな様子だった。なんか、職人として正しい反応だな、と思った。
白い木綿の着物に型紙の上からのりをつけて、そのあとに藍草を溶かした液をしみこませる。すると最初は紺色に染まった着物から、のりがついていない部分だけ色がはがれて模様が浮かび上がってくるようだ。
「大昔は紺屋が女性にもてて、だからみんなわざと仕事を終えて遊びに行くときに、手を青く染めてでかけたんだよ。わりとのんきな時代だったんだろうね」
藤澤さんの昔話はすごく面白かった。遊郭の話しとか。書くことができないのが残念だ。 |