桜のつぼみに泣けるか
そういえば最近こんなこともあった。停車した電車の窓から桜の木が見えて、枝という枝のつぼみが膨らんでいた。冬の間はどこからみても枯れ木だったお前、それが今年も忘れずに花を咲かす準備をしている・・・そう思ったら、不覚にも車内で涙ぐんでしまい、たくさんまばたきをした。年をとったものだと思った。
よって、ふたたび桜のつぼみを眺めて、泣けるかどうか試してみたいと思う。
代々木公園までやってきた。ここまでくれば、けなげに開花を待つつぼみがたくさんあるに違いない。
ガッツポーズなどとってしまったが、一転、しんみりと桜を眺め始める。
なぜだ。あのとき同じ花を見て感極まった自分の心、あの純粋な気持ちはどこにいったのだ。
「歌伝説 ちあきなおみ」のことなども思い出してはみたものの、涙、一向に出ず。同行の月曜ライター、古賀さんがそのとき言った。
「私のほうが涙出てきてしまいました!」
年をとると涙もろくなるものですな。
よくよく聞けば、彼女は今年から花粉症になってしまったかもしれない、ということだった。そういう種類の涙だったらしい。古賀さん。焦らせないで欲しい。
ちなみに自分は幸い、まだ花粉症は発症していない。私の人生で今のうちにやっておきたいこの企画、であるわけだ。