デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

特集


ちしきの金曜日
 
雨つぶツアー


都会の雨は地面にしみない

 

東京都建設局の方の話によると、都会の川が枯れがちになっていることの原因のひとつは、まさに1ページめの旅の出発点にある。

湧き水は、もともとは地面に降った雨が地下にたまって自然に染み出したものだ。だけど、都会の場合、地面は舗装されていて、降った雨はそのまま下水に流れ込んでしまう。地下水がたまらないのだ。

 

だったら水を通す道路をつくろうよ

そういうわけで、降った雨をそのまま地下に通す透水性舗装という技術が既にあり、歩道についてはけっこうな面積がこれに置き換わっているらしい。

ただし、歩道の何倍もの面積を持つ車道については、まだ透水性舗装はほとんどつかわれていないとのこと。

雨を通す舗装とはどのようなものなのか。茨城県つくば市の土木研究所で、透水性舗装の車道への適用を研究されていると聞き、実物を見せていただきに行ってきました。


これがそれ。左側が通常の舗装で、右側が透水性舗装。明らかに水が通りそうなスキマがある。

「じゃあ水をかけてみましょうかー」とフランクにおっしゃる研究者の鎌田さん。ざっぱーん。

すると、まんなかでみごとに境目ができている。右側の水がしみこんでいるほうが透水性。


透水性舗装のほうは、水をかけるとみるみる地面にしみていく。いっぽうで普通のほうはよくみるような水たまり状態だ。

これだけみると、最初から目が粗い道路をつくればよかったんじゃないか、とか思ってしまいそうだけど、もちろん問題はそんなに単純じゃないらしい。

「透水性舗装は空隙がいっぱい空いている岩おこしのような構造ですから、大変弱いんです」(鎌田さん)

なので、歩道では大丈夫でも、重い車のとおる車道にはなかなか使えなかったらしい。ただ、1990年ごろに丈夫なアスファルトが開発され、透水性舗装の耐久性についても見込みがたってきたとのこと。だったらもう使っちゃえばいいんじゃないでしょうか。

「ただ地面に水がたまるということは、当然下っかわも弱くなるということですから、単純にアスファルトだけの問題というわけにいかなくなるんです。」

なるほど・・。他にもいろいろな問題があり、現在検証していらっしゃる最中とのこと。

この舗装が普及すれば、大雨のときに一気に川が増水したり、といった問題にも効果があるはず。期待しております。

雨つぶっていうか都市の話ですね

雨つぶツアーというよりは、主に下水道の話になってしまった。でも下水道萌えだ。

ちなみに今回もぐった神田下水は明治時代に作られたもので、東京の近代下水道の始まりとなるものだそうです。そういう意義を忘れて、ふだん入れない場所に入れて面白いなーとか、そんなことばかり考えてました。

今回お世話になった機関は以下のとおりです。末尾になりますが、この場を借りて御礼申し上げます。

東京都下水道局
https://www.gesui.metro.tokyo.jp/

独立行政法人 土木研究所
https://www.pwri.go.jp/



< もどる ▽この特集のトップへ  

 

▲トップに戻る 特集記事いちらんへ
 
 


個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.