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コネタ


ウイルスの恐怖展 連動企画
 
潜入!クローズド食堂

一般人に積極的に開放していない食堂というのがある。社食や学食というやつだ。普通のレストランにはないあのクローズドな雰囲気には妙にそそられる。

個人的に社食のある会社に勤めたことがない。学食を使っていたのもだいぶ昔の話になってしまった。

ああ、セルフサービス、プラスチックの食器、ガヤガヤした広い食堂内! こうなったら、無理矢理潜入してしまおう!

(text by 古賀 及子

潜入、そしてメニュー物色中
そば・うどんレーンに潜入中

潜入1・某大手自動車メーカー社員食堂

とあるオフィスビルにやってきた。首から社員証をぶらさげる人々に混ざってエレベータに乗る。ドキドキだ。社員食堂は2F。

部外者としてなんとなく遠慮しつつメニューのケースをのぞくと、……安っ! たぬきうどん・そば130円! そのほかにも麻婆豆腐丼が230円、鮭の塩焼きとひじきご飯セット360円、豚肉と卵と木耳の炒め物が155円などなど。あんまり安いのでうろたえたが、この日は週に一度の「低価格メニューの日」ということだった。ああ、社食っぽい。

さらに、おでんは月、水、金曜日が醤油味、火、木曜日が味噌味という張り出し。こうゆうよく分からない方向への気配りも社食ならではか。迷ったあげく、たぬきそばと小鉢2つを取ってお会計へ。

「社員証はお持ちですかー?」
--(ぎく)い、いえ。
「そうしましたら社外員価格頂戴しまして全部で390円になりますー」

なんと、めん類は+90円、その他は+220円払うことで部外者も普通に利用できるのだった。ちょっと拍子抜け。

ラインナップが奔放きわまる小鉢メニュー。左から大学芋、イカ南蛮揚げ、バナナフリッター
潜入食べ中
味は……。

それでも、どうですか。↑の写真。スーツの皆さんへの立派ななじみぶり。ざわつく食堂内で聞き耳を立てれば、
「こないだGM(ジェネラルモータース)の関係者がさあ……」
とか、何やらそれらしい業界の会話が聞こえてくる。私もせめて自動車のことを考えながらソバをすすろう。そういえば、免許を取ってすぐバックで桜の木にぶつけて以来、車運転してないなあ。あれからもう7年か……。ずずっ。

続いては学食へ。潜入して学生気分を取り戻したい。

 

潜入気分むんむん
食券はプラスチックの板。カレーはもちろん黄色

潜入2・某大学学生食堂

今回はあえて自分とは何のゆかりもない大学へおじゃました。学内は全体的にかなり静かで、潜入という気分が盛り上がる。

広いキャンパスで学食の入っている棟を見つけると、棟内には「学食→」という赤い矢印が至る所でナビゲートしてくれた。矢印のとおりに階段を昇って、廊下の突き当たりを右、それでまた階段を少し下りたところが学食。階段を昇ったり降りたりしたので、何階なのかよく分からない。テレビゲームにはうといが、ドラクエってだいたいこんなもんか。

先ほどの社食に比べて半分以下の広さの食堂、お昼時にもかかわらず人もまばらだった。あ、そっか。今、冬休みなんだ。

訪れたのは12月25日だったのだが、年内の学食の営業はこの日の13:30で終了だという。それにしても静か。2人連れとかいるのに、シーンとして、食器のかちゃかちゃ言う音が良く聞こえる。勉強している人もいたので気を遣っているのか。

メニューは通常の縮小版だった。一番安い、310円のカレーを頼むとみそ汁がついてきた。サービスだそうだ。クリスマスプレゼント?

若き血のラーメンも気になる
学生気取りでカレー食う
味噌汁のサービスは年末年始スペシャル企画

数少ない同席者の方々(学生さんというより、年輩の人が目だった)もほとんどがカレーを食べていた。具が豚肉と玉ねぎのみのいかにもな日本式カレー。が、これが結構辛い。後でこの大学の卒業生に聞いたところ、この学食はメニューにかかわらず何でもスパイシーでキレがある味が特徴なんだそうだ。

デイリーポータルではこれまでに理系大学の学食のカレーのレポートがあったが、この大学は文系。文系のカレーもあなどれないということが潜入の結果明らかになりました!

続いては普通に営業しているんだけど、ある一定の職業の方々が集まるというお店へ。

 

歌舞伎町の入り口に建つ
ぜんぶ280円。学食よりも安い

潜入3・歌舞伎町某喫茶店

新宿歌舞伎町の喫茶店にやってきた。ここは年中無休24時間営業で、界隈のお店のお姉さんたちが出勤前後によく使うらしい。特に地下のフロアは時間ともなると店の楽屋かというぐらいお勤めの方が埋め尽くすんだそうだ。

喫茶店なだけに、サンドイッチ的なカフェ系メニューもあるにはあるが、ここではメインはカレー、うどん、そば、丼もの。しかも安い。まさに姉さんたちの社食なのだ。

事前情報によると、20時〜21時と明け方が狙い目だという。20時頃行ってみた。姉さん方は「軽く食べて、コーヒーのみながらお客さんに電話営業して、化粧なおして出勤」みたいな感じだろうか。想定し、私もワカメそばとアイスコーヒーをオーダー。受け取っていざ、地下フロアへ。

……? あら。すみません。実はガラガラだったんです。この日はクリスマス。みなさんお客さんと同伴だったのか。

「今日私休みだからー、昨日のお客さんもし来たらよろしくしといてー」唯一いたそれらしい方は今日は休みらしい。

因みにその他には中年の男性が4人。うち2人は年賀状を書いていた。潜入は来年またリベンジすることにして、今日のところは家に帰って私も大人しく年賀状を書くことにします。

……あら?
生卵はお一人様一つ無料サービス。やっぱり社食・学食っぽい。味はとっても濃かった

一部空振りしつつも堪能したクローズド食堂たち。街の食堂とも、家のご飯とも、給食ともちょっと違う(最後の店は本来普通の喫茶店なわけだが)ごはん形態。じぶんちのような、ひとんちのような場所。自分の会社や学校以外の食堂というのはさらにまたそのコッソリ感が楽しかった。

それにしても、何も考えずにメニューを決めたら3軒中2軒でソバを食べている。自分のソバ好きにも気がついたところでお開きです。

宴会も受付るという2軒目の学食にて。エンドレスですか


編集部から

食堂への潜入は牧歌的でハッピーエンドですが、潜入されてアンハッピーなのは僕らのパソコン。ごはん食べられるぐらいじゃ済まないですから。ウイルスに正月休みはありません。チェキラー。


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