うなぎが牛になる
結局なじみの焼肉屋に来た。父はうなぎだけでなく牛も好きだ。そして特に焼肉屋が好きだ。理由を聞くと、「わいわいと焼くのが楽しい」と言う。同じ牛でも、ステーキを静かに食べるより、焼くという行為で盛り上がるのが好きなようだ。
で、結局焼肉をおごることになった。
だがクロアチア戦を控えた日曜7時過ぎ。すいているかと思いきや、試合にそなえてなぜか自分らも気合を入れるためか、店内は客でものすごく混んでいる。でも父はその様を見て「焼肉屋が混んでるとうれしいね。狂牛病とかの騒ぎのときはガラガラだった。焼肉屋が混んでないとさびしいね」と、高貴な視点から発言をしている。
しかし、やっと座れたがなかなか肉が来ない。腹が減ると目に見えて不機嫌になっていく父だ。高貴な視点はどこかに行った。 |