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ロマンの木曜日
 
昆虫食のひるべ

私にお任せください
主催者のようにたち振るまう伊藤さん
虫、ごった揚げ。「地獄」というタイトルの絵本が見守っていました。

虫ミックスピザ、チョコフォンデュを作る

内山さんは本当にたくさんの虫を用意して下さいました。まるで昆虫展にきたような楽しさです。参加者はみな昆虫が大好きな人たちのようで、気がつくと女子のみなさんも青虫や芋虫を手にとってかわいがっていました。

衝撃をうけるのはやはり「ゴキブリ」かもしれません。
昔の人気テレビ番組に「奇人変人コーナー」があり、ゴキブリを天ぷらにして食べた人がいました。参加賞の白いギター欲しさです。その後、"食べたゴキブリのタマゴが体内でフ化して死亡した"という都市伝説(ガセネタ)が生まれるほど、我々日本人にとってあれはショックなシーンだったのでしょう。

今回いただいたのはマダガスカルコックローチ。日本のやつらよりもひとまわり大きくて羽がありません。本来は嫌われものゴキブリも、ところ変われば大人気。あっという間になくなりました。

熱した油に次々と投入される虫たちを見つめながら、内山さんがおっしゃっていた「昆虫食の醍醐味」を、参加者全員が一体となって体感しています。
背後には地獄と言う名の絵本が……。

すでに三種類の料理を食べたあとですから、「これはおいしそう」「これは固そう」などと味の予想を語るまでになっています。

登場した虫たち

  • オスズメバチ
  • ハウスクリケット
  • スーパーワーム
  • スズメガ幼虫
  • カイコさなぎ
  • タガメ
  • マダガスカルゴキブリ幼虫
  • セミ幼虫
  • ショウリョウバッタ
  • ツチイナゴ
  • サクサンさなぎ
  • クワカミキリ
  • キボシカミキリ

 


サクッと揚がった昆虫をデコレーションするのも楽しい

チョコでコーティングしたカイコサナギ。あっという間になくなってしまったようです。
チーズと虫の相性がいいことが判明!こぼさないように手を添える清水さんは昆虫食人の鏡です。

一番美味しかったものは?

小川:「バッタとスーパーワーム」虫のカタチがカッコイイので、むしろカッコイイ食べ物!?みたいな気になってきました。 ピカチュウかまぼこがOKなら、ムシキング料理もいけるはず!お子様の未来の固定観念払拭に是非ムシ料理!


伊藤(かわいいほう):「蟻の幼虫」冷静に写真を眺めると、若干集団催眠にかかっていたような気も……。これからテレビの罰ゲームで昆虫を食べさせられる人を見ても、冷めた目で見るようになると思います。


得能:「コオロギとスーパーワーム」ゲテモノ喰いの好奇心を揺さぶられつつ、一料理・食材としての可能性、食料危機にまで広がる体験。 段々テンションが挙がっていく自分もまわりもなんだかおもしろかった。


清水:「スーパーワーム」飲み屋でメニューにあったら絶対注文。外で虫を見かけると「食えそう、食えなさそう」という基準で見たり、素揚げにした姿を想像したり。虫料理、2-3年のうちに絶対来ますね…。


伊藤:「スーパーワームとコオロギとバッタの足」まんまと作戦にハマッてしまった。後日道に死んでいた蜂を見て「食えるな」と思った。蜘蛛も姿を見せるが理性を押さえて我慢している。

たのしくおいしい昆虫料理を食べよう

今回のイベントは本当にたのしい時間を過ごせました。

「ぜったい食べません」
と言い張っていた伊藤さんが、気がつくと調理の主導権をにぎっていたこと、まさにミラクルでした。
カメラマンだけなら……と引き受けてくれたもう一人の伊藤さん(かわいいほう)もけっきょく全メニュー完食。

内山さんの言葉と自然な調理手さばきは、非日常を日常にしてしまう不思議なオーラに満ちあふれていました。
イベント後の反省会で、夢から覚めたような私たちが出した結論は

「あれって内山マジックでは……」

というものでした。

私の大好物であるアワビ・サザエ・ナマコ……どれもみな昆虫よりはるかにグロテスクな姿をしています。きっとみなさんも普通にクチにしたことがあるでしょう。でもあれが日本食文化になかったら?それでも旨いと言えるでしょうか。
あのいでたちで?
あのぐにょぐにょで?
でもあれはうまい。(主観ですが)

昆虫も同じです。
「食べものではない」という先入観がじゃまをすると、本物の味がわからなくなってしまいます。旨い・マズいの自分の味覚までマヒしてしまう。それは残念です。人として、大変な損をしているのではないでしょうか……。

今回、私がいただいた中で一番おいしかったものは、スーパーワーム。サクッとした歯触りに、ナッツのような味。好みの味ではなかったものがカイコのサナギです。私はこの味覚に自信を持っています。先入観がないからです。

あっ!
というわけで、わたくし、当初の目標、「先入観を払拭する」に見事に成功したようです。

同行してくれたみんなと、内山さんのおかげです。
本当にありがとうございました。

 

一番衝撃的シーンは、イベント終了6時間後にやってきました。

口内に違和感を感じた私はクチからそのナニかを取り出したのです。
なにかの昆虫のアシでした。
同じように、同行の小川さんも数時間後に歯に挟まっていた虫の残骸を発見していました。

でも私たちはもう、屋台ラーメンに入っているハエにもゴキブリにも動揺することなくつまみあげることができる。それを食べることだってできる。
道でアリの行列を見かけたら、「あらおいしそう……」と周囲をビビらせることもできるのです。

なんという素晴らしい体験をしたか、その時がくればまた実感することでしょう。

しばし虫からはなれ、地獄絵本を読みふける2人

主催:昆虫料理研究
   第23回例会のご案内(バッタ採集&調理10/14開催)
撮影協力:よるのひるね(夜の午睡)


 

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