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ひらめきの月曜日
 
サケと一緒に遡上したい
豊平川といえばサケ!
何種類もの、サケがモチーフの柵があります。


札幌市内を流れる豊平(とよひら)川は、サケ(シロザケ)が遡上してくることで有名です。

豊平川の徒歩圏内に住んでいる者としては、ぜひ、サケが遡上しているところを目の当たりにしてみたい!

とはいえ、サケがそんなに都合よく目の前を遡上しているものなのか?
サケ遡上のピークは、気候や条件によって、年でまちまち。サケが見れるかどうかは運の要素も強いのです。

若干不安をおぼえつつ、去年の目撃情報をもとに、9月下旬にサケを求めて豊平川に行ってみました。

(text by 加藤 和美



■上白石橋〜東橋

去年のサケ目撃情報をもとに、まず豊平川の中流、上白石橋付近に行ってみた。
豊平川は、川幅は広いが両側に住宅地の広がる、ごく普通の川に見える。

河川敷では、散歩をする人、ジョギングをする人、サイクリングをする人などがいて、憩いの場という感じ。
こんな人がウロウロしている場所に、本当にサケがビチビチとさかのぼっていくのだろうか。

さっそく川べりに下りて、サケを求めてウロウロする。
どういうところにサケがいるのかよくわからないので、とりあえず水の浅いところを眺める(深いところだとサケがいてもわからないので)。

上白石橋からその隣の平和大橋、東橋と、だんだん上流に向かって移動していく。

東橋下流域は去年の目撃情報が多かったようなので、念を入れてウロウロしてみたが、なかなか見つからない。
ウグイだろうか、小さな魚ならけっこういるのだが、サケは見当たらない。


やはり、そうそう見られないものなのだろうか…。
それとも、見に来る時期を誤ったか…。
そう肩を落としかけたとき、すぐ脇の茂みから、ひとりのおじさんがあらわれた。

すばらしい秋晴れの豊平川。
こちらが上白石橋。
川原に下りてサケを探す。 こんなの落ちてたけど、本当にサケが来るのだろうか…。
東橋から、下流の川面をながめる。川下りの人々を発見。ちがう、私が見たいのは遡上する方だ。

 

ぜんぜん見つからない…。ちょっと途方にくれる。
「ここで見た、あそこでも見れるよ」と証言するおじさん。

■救いの神登場

茂みからあらわれたおじさんは、こちらに近づいてきた。
豊平川では、許可なしにサケを捕ると犯罪になり逮捕される。
もしや私は疑われているのか!?と、一瞬身構える。

おじさんは「どう?サケ見えた?」と話しかけてきた。
私が見えないと答えると、おじさんはことこまかに、サケの観察の仕方を教えてくれた。

  • ウロウロしていてはダメ。サケを観察したいならじっとして水面を見ていること。
  • 水面にふつうとは違う水しぶきがたったら、そこにサケがいるかもしれないので、そこをじっと観察してみるといい。
  • 川底の石がツルツルにで平らになっているところがサケの産卵場所。
  • 今朝、ここでサケを見た。
  • 1ヶ所で2〜3時間待っていれば見れる。

おじさんによると、ちょうど私たちがいた場所も、サケが来るポイントだという。
確かに言われてみると、川底が平らになっている箇所が何ヶ所かあった。サケは産卵するために尾びれで川底を平らにするのだ。

おじさんは最後に、
「さっき、向こうの橋の近くで4〜5匹サケを見たよ。今から行けばまだ見れるんじゃない」
と、すばらしい情報を教えてくれた。

私が「くわしいですね!」と言うと、おじさんは「まあ、好きでね、よく見てるから…」と、うすくほほえみながら、茂みの中へ消えていった。

おじさんのレクチャーを参考に、上流の水穂大橋に移動することにした。

このように、川底がきれいに平らになっているところがサケが来た跡と教えてくれた。こんなすぐ近くに!? ふつうは左の石のようにコケでヌルヌルしているのにくらべて、右の石はサケが体をこすりつけるのでツルツルになっている。

 

■いさんで水穂大橋へ

「さっき4〜5匹見た」という証言をもとに、水穂大橋へ向かう。

するとテレビでよく見かける、サケがいかにもピョンピョンはねていそうな段差を見つけた。
あとで調べたところ、こういう段差のことを床止(とこどめ)といい、かつてはサケが床止のためにそれ以上遡上できない状態だった。
1994年から徐々に床止に魚道(ぎょどう)がつくられ、サケがさらに上流まで遡上できるようになった、とのこと。


そんな床止の前に陣取って川を眺めていると、けっこう同好の士、つまりサケウォッチャーがチラホラといた。

私の川向かいで観察していた人は、クツをぬいで川に入ってまで観察していた。

さっきのおじさんといい、サケ観察は意外とポピュラーな趣味なのかもしれない。


9月末の札幌といえばすっかり秋めいてきているはずだが、なぜか今日はとても暑い。
ジリジリと日に焼かれて、根性がないので30分ほどで場所移動。涼しい橋の下で観察することにする。

こちらが、さきほどおじさんがサケを見たという水穂大橋。
おお、ここはサケが飛んでいそうだ!この段差が床止。川の真ん中あたりに魚道があるらしい。
川に入って熱心に眺めるサケウォッチャー。
※でも危ないので本当はここに入っちゃダメ。
柵に腰かけ、のんびり眺めるサケウォッチャー。

 

■気分は探検隊

橋の下は川の流れもゆるやかで、静かだった。
しかし水も深いので、見つけにくいかもしれない。
さっきのおじさんの「4〜5匹見た」という情報はいったい…。

少し落胆したところで、同行の友人がサケの死骸を発見!
おおお、これはやっぱりサケはいるということか!?

いるのかいないのか、判断に迷いながらもじっと観察していると、私が見ていた場所より下流の方から、「パシャン!」という不自然な水のはねる音が聞こえた。

同行の友人と顔を見合わせて、
私「今の音、聞いた!?」
同行者「魚がはねたような…」
私「魚だとしたら、大きいもので水面叩いたみたいな音だったよね?音も大きかったし、大きい魚なんじゃない?」

興奮のあまり、ちょうどすぐ近くに立っていた見ず知らずの小学生の女の子にまで話しかけてしまった。
私「今、水がはねたところ見た!?」
女の子「見てない」
そうですか。すいません。

とにかくサケはこの近くにいるのだ!

だんだん、サケというよりUMA(未確認生命体)探しのような雰囲気になり、がぜん盛り上がってきた。

橋の下は少し暗く、静かだった。
サケの死骸を発見。…間違いなくいる!

 

■ついに…!

水穂大橋の真下から上流に移動すると、浅瀬の広がる場所があった。
クツを濡らしながらも川に入って川面を眺めていると、岩と岩のあいだではねている何か。

……サケだ!!

しかもサケが3匹、その周囲をずっとはねまわっている。
これもあとで調べたことだが、どうやらこのサケは遡上しているのではなく、ここで産卵、もしくはケンカをしている可能性が高い。

メスは川底を尾びれで叩いて平らにならし、二畳ほどの面積に5〜6回に分けて産卵する。
そこへオスがやってくるわけだが、オスが複数いるとケンカになることがある。
ここに3匹いて、場所も動かず同じ場所ではねまわっていたところから察するに、もしかしたらオスはケンカの真っ最中だったのかもしれない。
ちなみにケンカに勝ったオスは、婚姻色といって体に赤紫色のしま模様が出る。
サケの外見を見れば、オスなのかメスなのか、ケンカに勝ったのかわかるのだが、残念ながらそこまでは視認できなかった。


ともかく産卵中(もしくはケンカ中)のサケたちを見ることができた!
しかもここの周囲は住宅地で、おまけに自宅からは徒歩圏内。
サケの遡上には大自然のロマンのようなイメージがあったが、きわめて身近だった。

サケを激写!…といってもこれではわかりづらい。
拡大&注釈をつけてみた。
じつはサケがはねた瞬間の写真だった。
ハネるサケを動画でどうぞ。
(音が出ます)
こちらは3匹のサケが確認できる。
(音が出ます)
動画より。メスではないだろうか。 サケの背びれと尾びれが見える。
2匹のサケが折り重なるようにハネている。

 

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