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ちしきの金曜日
 
自分なりのリアル走馬灯づくり

●人それぞれに自由過ぎる思い出たち

  かくして完成した自分なりの走馬灯。納得しつつも釈然としない気もしてきて、とにかくこれからの人生を充実させたいという気持ちになった。

 自分のことはこれでいいだろう。他の人の思い出も走馬灯にして見てみたい。というわけで、当サイトウェブマスターの林さんに話を聞いてみた。


── そういうわけで、林さんの思い出を聞かせてください。
「思い出……うーん、ガスタンクかな…」

いきなりかなり特殊な思い出が登場だ。

画像クリックで林さんのガスタンクサイトへ

 個人サイトでガスタンク巡りをしていた林さん。かなりの数のガスタンクを見ているようで、ひとつひとつが大切な思い出なのだろうと思う。


── 他にもありますか?
「あと……痔の薬とか…」
── えっ、それ、書いてもいいんですか?
「いいですよ、最近調子いいし。いやあ、あれはつらかった……」

パッケージから漂う迫力

「あと、22歳くらいの時に初めてしゃぶしゃぶを食べまして。あれはうまかった」
── 確か、ピスタチオもその頃初めてでしたっけ?
「そうそう、ピスタチオもそうです。うまかった」
── あれはうまいナッツですよね。
「よくわからずに、硬い殻ごと食べちゃってたんですが、それでもうまかった」

この殻ごとってすごいよな

 ワイルドな木の実ライフを送っていた林さんだが、食べ物に関する思い出はまだあるそうだ。


「母がよく焼き鳥を買ってきていたんですが」
── ええ。
「いつも『レバーは高級品だから食べなさい』って言われて食べさせられていました」
── それは…ちょっと、嘘、ですよね。
「栄養があるから食べさせたかったのか、安いのをごまかしていたのか」
── 栄養ならば、母の愛としての嘘かもしれない。
「僕はいまでもレバーを見ると、いいもの、と一瞬思ってしまうんですよ。そのあと、いや、違うんだ、これは安いんだと思い直します」

 ガスタンク、痔の薬、しゃぶしゃぶ、ピスタチオ、レバー。よみがえるのはどれも大切な思い出たちだ。

 それを絵にするとこうなります。


林さんの思い出ラインナップ

 左から、ピスタチオ・レバー・しゃぶしゃぶ・ガスタンク・痔の薬だ。先の写真で痔の薬は内服薬タイプのものだったが、絵では視覚的な楽しさを重視して浣腸タイプにしてみた。


思い出セットオン
じんわり浮かぶガスタンク

 どの話もおもしろいエピソードだったが、走馬灯のやわらかな光に透けると、なぜだか急にせつない思い出に見えてくる。騙されているのか。

 右の写真、ガスタンク。右下に見える黒い影は痔の薬だ。


レバー、母の愛

 レバーと一緒に透けて見えるのは、林さんのお母さまの愛情だろうか。気恥ずかしくもあるそんなものも、走馬灯に照らされると自然とやさしく見える。

 苦みばしったピスタチオの殻も想像しながら動画をご覧になると、また味わいも深まります。


ひとりにひとつずつ、心の中にある走馬灯

 形は判然としなくても、しゃぷしゃぶのあのおいしさはよみがえる。黒く忍び寄る痔の薬の影はもう過去のこと。いろいろな角度からその人の心を照らす思い出たちだ。

うかつにも普通にきれいだなと思う

●思い出と向き合って、これじゃまずいと気づく

  冗談抜きできれいだった走馬灯。暗い部屋でゆっくりと回るそれを見ていると、柄にもなく幻想的な気持ちになる。

 シメジ、魔界村、ハンバーグ……。自分の走馬灯をじっと見ているうちに、回っていることのくだらなさをうっかり忘れる。ぼんやりとしたその美しさに見とれてしまうのだ。

 そんな魔力のある走馬灯。シメジに見とれてる場合じゃないだろう。

 さすがに本番で見ることになる走馬灯に、シメジや魔界村はどうかと思う。またシメジかよ、ということにならないように、今後の人生を送っていきたい。


 

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