鶏肉とタマゴをとじたものをごはんの上に乗せた料理、親子丼。定番のおいしさがある丼物だ。
カツが乗ってるからカツ丼、天ぷらが乗ってるから天丼。そうしたルールにのっとって、親子が乗っているから親子丼である。基本的にはそれでいいと思う。
ただ、乗ってる物そのものではなく、「親子」という関係性がネーミングになっている点が特徴的とも言える。
それなら他の「親子」が乗っても親子丼になるのではないか。いろんな親子を乗せてみて、おいしい親子丼づくりに挑戦してみました。
(小野法師丸)
親子丼と聞けば、鶏肉とタマゴのものを思い浮かべるのが普通だと思う。普通だが、間違いなくおいしい丼物だ。
ある日の夕食前、妻から「今日は親子丼にするから」と聞いた私もその親子丼を思い浮かべていたのだが、実際に出てきたのはこんな親子丼だった。
予想を裏切られたうまそうさ
思っていたのと違う。でもこれも間違いなくおいしそう。ちょっと気を利かせて、わざと普通に「親子丼」と予告していたのだろうか。裏切られつつうれしい。
予想外ではあるが、確かにこれも親子丼だ。
サケとイクラという魚の「親子」。そういえば北海道の方ではこのタイプの親子丼を食べさせてくれるところがあると聞いたことがある。
定番の親子丼もおいしいのだが、華やかさに欠ける面はあるだろう。そういう意味でスター性のある親子丼だと思う。
食べながら思いついたのは、もっといろいろな親子丼があってもいいのでは、ということ。そういうわけで、明日からも変化のある親子丼を作ってくれるように頼んでおいた。
そんなリクエストに応じて、次の日に出してくれたのはこんな親子丼だった。
全体的に渋いイメージながらも、白と赤とのコントラストがきれいな親子丼。この親子の正体は一体……。
調理前に材料を撮影しておいた。タラとタラコの親子丼だ。サケとイクラのものは聞いたことがあったが、そういえばこの親子の組み合わせのどんぶりは聞いたことがない。
意外な盲点となっていた親子丼。おいしいのだろうかと思いつつ食べてみる。
……うん、けっこううまいぞ。
親子と言えども味的にはなじまない気もしていた組み合わせ。確かに一体化したおいしさではないのだが、それぞれが普通においしく、味としてもぶつかっている感じではない。
しかし、食べながら思っていたのは、厳密に言えば「親子」ではないのでは、ということ。
定番タイプの親子丼でもそうなのだが、具材の組み合わせはあくまで「親とタマゴ」。まあそれでも言いたいことはわかるのだが、「親と子供」である親子丼があってもいい。
そんな話をしながら食べて、翌日もまた違った親子丼を出してくれるように頼んでおいた。