●たどり着いたオネスティ
そのあとも勘を働かせて車を走らせていると、ラーメン屋のご主人が問い合わせてくれたとおぼしき店が見つかった。オネスティだ。
オネスティと聞いて思っていたのとはちょっと違う雰囲気の店だったが、確かにそう書いてある。ここには間違いなくカンロがあるはずだ。
すでに食べることができたのだが、おみやげ用に買っていってもいいだろうと思い立ち寄ってみる。
「特売」の字体が独特なネギも安く、思わずカゴに入れる。そしてやはりカンロもあった。のぼりが立っていたりして、商品として押してきている雰囲気がある。
普通の食料品と並んで置かれているカンロ。佐野市内のスーパーではある程度の確率でカンロは置いてあるようだ。
●街にとけこむカンロ
ラーメン、カンロと佐野ならではのものを食べてきたが、もう一つの名物、いもフライも食べておきたい。以前に来たときに食べたらとてもおいしかったのだ。
市内を普通にうろうろしているだけでも、いもフライの黄色いのぼりの立った店はちらほら見かける。食べてばかりいるのに不思議だが、旅の魔力なのか、小腹が減ってきたので入ってみる。
いもフライを注文して、揚がるのを待ちつつ店内を見てみると、さっき見た赤いのぼりがあった。あっ、ここでもカンロが売っているではないか。
浸透度が高さを感じるカンロ。しかしよく見ると、何か違う。
オレンジ色がシンボルカラーだと思っていたカンロだが、なんだか白っぽいのもある。コップ自体が白っぽいので、何も入っていないようにも見えるが、しっかり中身は詰まっている。
別カラー版を発見だ。またも買ってしまう。
オレンジ版では袋の上部に「手づくり」と書いてあったのだが、白版では「無添加」となっている。原材料名の表示を見てもわかるのだが、着色料を添加していないようだ。
スポーツドリンクにも見える白版カンロ。斜めにすると固まっているのが確認できると思う。
みつを入れて、ほぐしながらかき混ぜる。こぼさないようにしなければならないもどかしさが、なんとなく儀式的で気分をちょっと盛り上げる。
オレンジ版がオレンジの味がしないのと同様、白版もカンロ本体には基本的に味はほとんどない。みつの味と感触、そして喉ごしを楽しむ類の食べ物なのかもしれない。
特においしいなと思った食べ方は、最後の方に残った小さく崩れたカンロを、カーッと一息に飲み込むときだ。
これで結局、今日3つ目のカンロ。おいしく食べました。
実体はシンプルなローカルデザートだった、佐野のカンロ。
寒天を溶かして固めたもの、と言ってしまえばそれまでなのだが、自分で作ったところでおんなじ味にはならないような気もする。
やはり食べ物というのはトータルの雰囲気で味わうものだからだろうか。そういう意味でも満足だったカンロ探しの旅、ごちそうさまでした。