■説その２　強欲な父の代わりにころがった

次は病弱の父から一転、強欲で極悪非道な父の代わりに死んだ説。

　むかしむかし、大沢におせんという若い娘がいました。おせんの父親は豪族で、村人に重い年貢を科し厳しく取り立てていました。

　ある時村人がそんな父親の殺害を決めました。村人は父親を拉致してす巻きにして崖の上に寝かせました。どうやったかは判りませんが、おせんは隙を見て父親と入れ替わりました。

　 そして、父親の代わりに崖の上から転げ落とされました。死んだのがおせんであると知った村人は深く後悔し、流石の父親も改心したとのことです。

つまりこういう話です。

入れ替わり説も、父親の服を着て成りすました説やす巻きにされた父親とすり替わった説などがあります。

■説その３　強欲な父に胸を痛めてころがった

極悪な父はその２と同じだけど、転がった理由が違います。

　むかしむかし、大沢にお仙という若い娘がいました。おせんの父親は豪族で、村人に重い年貢を科し厳しく取り立てていました。

　おせんは強欲非道な父の行いに胸を痛めていました。しかし何度説得しても父は心を入れ替えることなく、執拗に年貢の取り立てをしていました。

おせんは言葉での説得は無理と悟り、父を諫めるために崖から身を投げ転がり落ちました。

二コマで表現するとこういう事です。

自分の命を投げ出して父親を改心させようとするおせん。そんな事、やれって言われても到底出来ません。