デイリーポータルZロゴ
このサイトについて

はっけんの水曜日
 
「おせんころがし」のまとめ

 

■説その4 父親と崖の上を歩いていてころがった

4つ目は極悪非道な領主+病弱な父バージョン。

 むかしむかし、大沢におせんという若い娘がいました。おせんには病弱な父がいました。しかし病弱だからと言って年貢のアワビを納めなくて良いと言うことにはなりません。おせんの領主は強欲で年貢に厳しかったのです。

 おせんの父は無理を推して海に向かいました。おせんはそんな父を心配し、せめて海までと父に付き添いました。そして崖の上に差し掛かったその時!!強い突風が二人を襲いました!!

父親はとっさに身をかがめて風をやり過ごしましたがおせんは風に煽られて崖から転がり落ちてしまいました。

すなわちこういう事です。


結婚するとか除隊するとかそういう事を言い出してはいけません。なぜなら死んじゃうから。

二人で崖の上を歩いていると突風が!父親は助かったものの、おせんは崖から落ちてしまいました!!


風で飛んで崖から墜落。どんだけ風強いんだよ!という。群馬じゃあるまいし。

崖の下から見上げてみた。んー、高いなぁ。

 

■説その5 おせんの為に死んだ若者のためにころがった

最後は今までの説とは全然違っておせんがモテモテだった説です。

 おせんはとても美しい娘でした。そんなおせんを取り合ってアワビ採り競争をした若者二人が命を落としてしまいました。

それを苦にしたおせんは自ら崖に飛び込み、転がり落ちました。

きっとこういう話だったんだと思います。


 

二人とも漁師なのでいつも裸です。知り合いの漁師のオジサンもいつも裸です。入れ墨入ってますが堅気です(多分)。

アワビ採りって辺りが妙にリアルですが、現在南房総でアワビ勝負は行われていません(違うアワビ勝負については知らないけどな)。

海は危険と隣り合わせ。そこに勝負が絡んだら危険は増すばかりでありまして、つまり二人とも死んでしまいました。

ショックを受けたおせんは崖の上から身を投げてしまいました。


死にたくなる気持ちもわかりますが。村社会でこんな事になったら、ねぇ。

 

■結局どれが正しいんだろうか

 以上5つの説を紹介したわけですが、実は他にも微妙に違うバージョンが存在します。おせんころがしの話は口伝によって伝えられたそうで、それ故に途中で話が相当変わってしまったのだそうです。

  だから結局どれが正しいのかはわかりません。慰霊碑の横に立っていた看板にはその2の身代わり説が書かれていましたが、だからといって正解とも言えないでしょう。

  どれが正しいのかは判らないけど、おせんが崖から落ちて亡くなったのは本当なのでしょう。大昔の話なのでとっくに成仏してるとは思いますがご冥福をお祈りしたいと思います。


おせんさんのご冥福をお祈りして黙祷。

 

■わからなかったけど、それでいいか

どの話でもおせんに罪はない。おせんは父や若者の為に命を落としたのだ。こういう献身的な健気さが伝わるエピソードこそが「おせんころがし」の魅力なのだろう。

そんなおせんに敬意を払って緩い崖で転がり落ちてみた。

緩いけど怖いし痛かった。本物の崖なら死ねるな、と思った。おせんはやっぱり凄い。

おせんころがし周辺は崖から綺麗な海が望める素敵スポットです。ちょっと遠回りになりますが、南房総へドライブする時は崖沿いの道を走ってみるのも良いかもしれません。

その時は、注意のしようも無いんだけど落石と転落にはご注意を。うっかりすると自分が転がっちゃうかも。


 
 
関連記事
いい崖を見に行こう
東京崖っぷちツアー
転がって雪だるま

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.