そろそろ抱っこしますか、と小池さん
ワニ養殖場の時間はゆっくり流れていなかった。
戻ってきた小池さんは、塩ビパイプにロープを通した自作の捕獲器具を携えてプールに入っていく。やわらかい塩ビでないとワニの歯を傷つけてしまうそうだ。
プールに入ったとたん、猛烈に暴れだす一匹のワニ。ダシャー!と口を開けて威嚇する。このワニがボスだそうでみんなを代表して攻撃してくるのだという。社会性を持った生物なのだ。
そして塩ビパイプで小突かれ逃げていくボス。ワニvs塩ビパイプは塩ビの勝ち。塩ビやわらけーよボス。おまえたち一斉に攻撃すればその人倒せるよ!と教えてあげたかったが、言えば多分小池さんとの間に気まずい空気が流れそうだったのでやめておいた。
勢いのよいワニもおとなしく
こいつにしましょう、と選んだワニも勢いが良い。口をロープで結わえられても、くるくる回って抵抗する。このくるくるがすごい力なんだそうで、力を逃がさないと大怪我をするらしい。
ずるずる地上に引き揚げられたワニはひっくり返され口をテープで縛られて立たされる。ワニは立たせると仮死状態かというほどおとなしくなるらしい。
暴れまわるワニに対してこの一連の作業がテキパキしていて思わずごめんなあという気分になってしまう。 |