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ちしきの金曜日
 
ヤングめぐりで若さについて考える

●ヤングという概念との戦いの果てに

  日常に潜むヤング。例えばコンビニの雑誌コーナーには、たくさんのヤングが並んでいるのに気づいているだろうか。


期せずしてやってやるぜという表情に
ヤングアニマルと私

 そう、「ヤング○○○○」というマンガ雑誌がいろいろと置いてあるだろう。この店にも「ヤングサンデー」「ヤングチャンピオン」といった本が並んでいた。

 それぞれ訳すと「若者の日曜」「若い優勝者」といったところだろうか。冷静に日本語にすると、結構ダサいぞ。

 ヤングと聞くと卑屈になりがちな私だが、ここは一気に畳み掛けたい。今回は数あるヤングシリーズの中から、「ヤングアニマル」をチョイス。レジ店員の舌打ちや苦笑はここでもなかった。これはいけるかもしれない。


これはたいへんだ

 この手の雑誌を読むのは久しぶり。ページを開くと、表紙の女の子の水着グラビアが載っている。

 うーん、これはリアクションに困る。表情もやや険しくなる。


たいへんだー

 と、言ったものの、読んでいるシーンを撮影した中には、ややにやけてしまっているものもあった。いやー、まあ、なんというか、34歳で完全に枯れきってしまうのもまずいだろう。

 「ヤングアニマル」を直訳すると「若い動物」。もっとアグレッシブに「若い獣」と言ってしまってもいいかもしれない。

 その名もあってか、載ってるマンガにはとてもエッチなシーンも登場し、事態はどんどん大変なことに。どうしよう、私は一体何を目的としていたのだろう。

 ヤングという言葉との対決ムードもなんとなくうやむやになってきたが、最後に訪れる店できっちり雌雄を決したい。やってきたのは東京・東日暮里にある「三好弥(みよしや)」という店だ。


下町の小さなレストラン、三好弥さん
ファイナルバトルはヤングランチ

 この店にはヤングランチというメニューがあるのだ。ランチとはいえレギュラーのセットメニューであり、今回訪れたように夜でもオーダーできる。時間に囚われない若者を表現しているのかもしれない。

 メニューにもあるように、内容はハンバーグ・カツ・ベーコンエッグ。どれも好物、これなら微妙な年頃の私もウェルカムだ。

 小気味よく「ヤングランチで!」とオーダー。もちろん舌打ちや苦笑はない。


若者らしいガッツにあふれるメニュー

 オーダー後、しばらくしてやってきたのはその名に違わないパンチ力のあるものだった。これにライスと味噌汁セットになっている。うん、うまそうじゃないか。


今回の中で一番いきいきしてる

 ヤングマンを熱唱したりヤングアニマルをつい読みふけったりして、やや遅くなってしまった夕食。その分かなりのはらぺこで、食べる気まんまんだ。

 相手にとって不足はない。さあ、箸を手にしよう。最終ラウンドのゴングは鳴ったのだ。

 …うん、うまいうまい。3つのおかずそれぞれが自分の仕事を果たし、全体としてヤングランチたる名前を名乗っていい一体感を出している。


やった…ついにやった……

 なかなかボリュームのあるヤングランチだが、空腹だったこともあってちょうどいい具合におなかにおさまる。ジャストフィットに満腹、初めてヤングと私とが一つになった気がする。

 そう、もうそこに勝敗なんてなくていい。ヤングランチをおいしく食べきった34歳の自分がいる。そういうことなんだと思う。

●しなくてもいい心の旅

  ヤングという言葉に対してのモヤモヤと対峙すべくおこなった今回の企画。はじめのうちはヤングに対して頑なだった心が、ヤングに飛び込んでいくことでだんだんほぐれていった気がする。

 大丈夫、ヤングは君を否定しない。店員の舌打ちや苦笑もなかったじゃないか。自信をもっていいんだよ。そういうメッセージを、ヤングに戸惑う人々に送りたい。

 人は必ず老いる。年齢が逆行するということはない。それでも悲観することはない。なぜならヤングの扉は自分の心が手をかければ、必ず開くものだから。今回の試みでわかったのは、そういうことなんだと思う。


 
 
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