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ひらめきの月曜日
 
リアルかに道楽
 
 


このカニで、やってみたいことがある。

先月、漁船に乗ってカニ漁の取材に同行させていただいた。ライター玉置さんの記事「ミルクガニの煙突焼きを食べてきた」をお読みになった方なら記憶に新しいことと思う。

「で、おまえはただカニを食って来ただけなのか?」と思われた方がいるかもしれないが、そういうわけでもない。「せっかく立派なカニが丸ごと手に入るのなら是非ともやりたいことがある」と、密かな野望を胸に秘めての乗船であった。

今回、それがなんとか形になったので、ここに披露させていただきます。

(高瀬 克子



で、やりたいこととは

ずばり、コレです。


ご存知、脚が動く例の看板でございます。

この巨大な看板の下を通るたびに「ああ、カニ食べたいなあ…」と、妙にうっとりとした気分になるのは私だけではあるまい。

これを本物のカニの殻で作り、うねうねと動かすことが出来たなら…と想像するだけで、なんだか楽しい気分になるんじゃないか。普段なら廃棄されるだけの殻に、新たな命が吹き込まれるといっても過言ではなかろう。

というわけで、捕ったばかりのカニを買い取り、さっそく自宅へと帰ってきた。


保冷バッグに入れて、
冷蔵庫に保存。下段をほぼ占領するほどでかい。

かに道楽を作るまえに、当たり前だがやっておかねばならない作業がある。食べるのだ。とにかく食べないことには素材となる殻が発生しないですからね。うふふ。

しかし翌日、冷蔵庫の中からカニを取り出した私は、思いがけない感情に襲われることになる。

 

うっかり情が湧きました

このカニ、氷と共に保存しておけば一週間は生きていると聞かされていたが、やたらと元気がいい。


やあ、こんにちは!

保冷バッグの中でゴソゴソと動き、握手を求めるようなポーズのまま、つぶらな瞳で私をじっと見つめている。か、かわいい。

グッとくると同時に、かなり動揺してしまった。私はこれからおまえを食べるんだよ。お願いだから、そんな目で見ないでおくれ…。

漁のあと、調理のために生きたままのカニをバッサバッサと大量に解体してきたばかりだというのに、いざカニと1対1になるとなぜか躊躇してしまう。手が出ない。

そして私はこの日、カニを食べなかった。

自分の軟弱さに腹がたつ。食べるって本来こういうことだろう。生き物はなんだって可愛いさ。いつも美味しいと言ってるばかりで、いざとなるとカニのひとつも処置できないのか。まったく情けない。


いろんなことを考えました。
とにかく、おいしく食べましょう。

翌日、気持ちは吹っ切れた。食べるために買ってきたカニなんだ。ペットじゃない。

カニ漁に連れて行ってくれた玉置さんから「甲殻類は自然死すると一気にマズくなります」と聞かされたことも大きい。おいしく食べなければ、カニに申し訳が立たないというものだ。


無事に蒸し上がったミルクガニ。
もうもうもう、素晴らしくウマイ。

最終的には非常においしくカニを食べた。

この時点で「ひと仕事終わったな」という気分になっているのだが、ここまではあくまで序章でしかない。そう、今回のミッションは、ここからが本番なのである。


実際に使う脚と廃棄部分とを分け、
キレイに洗浄したのち、乾燥。

さて、かに道楽の看板って、どうやって作ればいいんでしょうか。


 

 
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