「最初はカメラマンさんと一緒で、その近所の別の店に連れていかれたんだけど『あそこのカレーって吐瀉物みたいでマズイですよね』って話になって、マズイのかよ!じゃあ他の店に行こうってんで『ながい』に行ったんですよ」
−−妥協案としての出会いですか。
「でも『ながい』もおいしいんだけど、むちゃくちゃ美味しいわけじゃないんだよね(笑)」
−−そんな微妙な評価なのに、なぜ?
「でも雰囲気がね。カウンターがあって、通路が面してるんですよ。ここに二時くらいにふらふらサンダルで来て、だいたい小説とか持って行くんですけど、ぼーっとしながら本読んでカレー来るの待ってると、横にサラリーマンが通ってるの見たりして。それで『あ〜、俺東京に住んでるんだなぁ』って」
−−そういうボーっとした瞬間に「そういえば東京にいるんだよなぁ」って思いますよね、地方出身だと。
「そうそう!まさか上京して昼時に新宿ぷらぷらしてカレー食ってるとはね。ぜんぜん自分が想像してなかった姿だから」
−−お互い私服で仕事して昼飯も自由な時間に、みたいなフリーっぽい仕事ですしね。分かるなぁ。
「なんとなく『あ、オレ永六輔みたいじゃねぇ?』みたいな(笑)」
−−そこでなぜ永六輔!
「永六輔って昼間から着流し着てぷらぷらしてるイメージあるじゃないですか。美味しいモン食ってちゃらっとやって、みたいな。柳に風っていうか、さらーっとして」
−−ちなみによく食べてたメニューは?
「カツカレーばっかりですね。なんかね、来るのは月一回くらいなんですよ。ただそれも自分がまいってる時とかで、ガツッと食ってリセットする感じなんですよね。体調悪い時には食えないですけど」 |