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ちしきの金曜日
 
東京の味とは?〜3分インタビュー〜

男は定食屋、女は何だ?

東京にしかない光景、として浮かび上がってきた「定食屋」。続いての紹介人、愛媛県松山市出身の編集者・イビルさん43歳がおすすめしてくれた恵比寿の「こづち」はまさにザ・定食屋だ。しかも昭和テイストな。


恵比寿で一際目立つ王道の定食屋感
手書き風のメニューも味あり。

「上京したのが83年で、大学一年の時にここを知って4年間恵比寿に下宿した時に通ってたんです。卒業してからはあまり来なくなったんですけど」

−−25年前からですか!今も残ってるってのもスゴイですけど。

「当時は週3回くらい来てましたねー。焼肉定食が今は800円ですけど、当時は530円だったんですよ。25年で1.5倍にしか上がってないのもショックですよね」

−−それ以外でこの店で変化したもの、してないものは?

「店員の方たちもずっと見てきてるんで、貫禄がついたなーとか思いますよね。当時30歳くらいだった人が55歳くらいなわけですから」

−−当時通ってた理由って特にあります?

「安くて美味しいのとバリエーションがある、てことですかね。2週間来ても毎日違うものが食べれるし」

−−地元の味と比較とかします?

「四国だと家で食べて太野が魚とかひじきとかなんで、子供のころの方が年寄りじみた食生活してたんですよね。歳とってからの方がこってりしたものが好きになりましたね」

−−それは珍しい!でも確かに食べちゃいますけどねー。

「学生時代はこういうところで食べるのは今だけだろ、って思ってましたけど、まさか25年同じところで
食べてるとは思いませんでしたね(笑)」


こちらおすすめの焼肉定食。
今でもちょいちょい寄ってるというイビルさん。

こづち

東京都渋谷区恵比寿1-7-6

この日、取材がてらイビルさんとこの『こづち』で昼食をとったのだけど、たしかにこれは通うなー。そして別に店員のおっちゃんおばちゃんたちと会話をするわけでなくても、汗かきながらかっこむ飯の味は記憶に残る。

と、ここまでそうした定食屋はじめガッツキ飯系の意見が多かったのは男ばかりだったかもしれない。ということで女性にも聞いてみよう。続いては福岡出身の主婦・アカリさん29歳。上京歴は計5年。彼女から出た「東京の味」は憧れ込みの甘酸っぱい味。


「私が一番好きな邦画が『東京日和』って映画なんですけど、そこにいろんな東京の名所が出てくるんですね。最初に見たのが上京前の19歳のころで、地味なんだけど味のある場所がいっぱい出てきたので『東京に来たら絶対行こう!』と」

−−まさに憧れのトウキョウ!だったと。

「特にその中で神保町の『さぼうる2』って喫茶店が出てきて、雰囲気いいなーって思ってたんです。それでいざ上京して、大学生の友達とランチでも行こう、って話になった時に連れて行かれたのが『さぼうる2』だったんです」

−−そこであの店だ!と思い出して。

「実はもうちょっと忘れてたんですけど(笑)。でも『あれ?さぼうる?さぼうる?』って考えてるうちに映画のシーンまで思いだしてきて、気持ちも高ぶっちゃって。それ以来何度も行きましたね。古本屋とか寄って、そこでご飯食べて。雰囲気がいいんですよ、また昭和って感じで!」

−−特に食べたメニューって?

「ナポリタンですね。喫茶店に行くと必ずナポリタンを頼むんですけど、もう『さぼうる2』のはザ・喫茶店のナポリタンみたいなやつで、シンプルな。あとあと聞いたら結構有名らしいんですけど」


映画パンフも持ってきてくれたアカリさん。
パンフ内にもしっかり紹介。

お店はこんな感じ。混んでて入れず残念!

さぼうる2

東京都千代田区神田神保町1-11

同じ「憧れ」タイプといえるのが、続いて自分がやってるイベントで毎度VJをお願いしているMareaさん。大阪出身、上京歴5年の30歳。


「東京の味っていうとねー‥蕎麦が好きなんで、東京に来たら蕎麦がおいしいと期待して来たんですけど、最初に食べた蕎麦がまずかったんですよね。それでアレ?って思ってたんですけど、今住んでる四谷の超汚い蕎麦屋が美味しいんですよ。それが東京の味かなー」

−−もともと出身が大阪だから、うどん育ちですよね。

「あとラーメンか、ね。大阪であんまり美味しい蕎麦屋がなかったんで期待してたんですけど、東京でも探すの大変ですよね」

−−高い店ならあるのかもしれないけどね。

「四谷って意外と蕎麦屋が多いんですよ、大丈夫かこのじいちゃん?みたいな人がやってる所が。ひとりで行くと、隣の小さいテーブルでおっちゃんが日本酒飲んでる、みたいな」

−−といって日本酒いろいろ並べた小粋な蕎麦屋、とかでもなく。

「そうそう。古くからあるっぽいんだけど、単に古いだけっぽい(笑)。でもたしかに美味しいんですよねー」

−−隠れ名所みたいでいいよね、そういうのは。

「あとは何だろー、東京の味‥美味しいモンは食べさせてもらってないからなー。外から来ると、味の違いに驚かされることが多いですね。東京で食べた京料理が全部濃い味つけになってたりとか。あとこっちでの『大阪の味』って紹介されてる所に行ってみたら、3倍の値段になってたり」


全然関係ないうどん屋でのインタビュー。

お店不明

各自四谷周辺を探索!

それにしても、今回のインタビューをしていくと「地元の味」トークになることが多かったなぁ。特に大阪・沖縄・北海道・九州の人は地元の味を売りにした店が東京にも多いだけに「某有名店は美味しくない!」「この辺が根本的に違う!」とかなんとか。それは普段グルメじゃない人もよく漏らす。まぁ自分もとんこつラーメン文化圏の人間としてコボしたくなる事はあるんですが。

今回は「東京の味」がテーマだけども、皆ちゃんと「地元の味」が身に付いてるんだな、と思わされた次第。


 

 
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