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ひらめきの月曜日
 
まだ行ったことのない鉄道路線に乗りたい

多磨。(not 多摩)
駅の看板より。多磨霊園、広大な敷地。こうして見ると多磨駅は、霊のための駅のような気がしてきた。

多磨霊園と多摩という地名
(多磨駅編)

というわけで武蔵境から2駅乗って多磨駅で途中下車。

多摩とつく名前の駅は多く(多摩センター、多摩川、たまプラーザ、奥多摩など)、多摩という地名が非常に広範囲を表す名前であることがうかがえる。

地元民であっても、当サイトライター、ヨシダプロ氏がどこかからどこまでが多摩なのか分からないとおっしゃっている。

そんな大きな地名、多摩を堂々と名乗っているのがこの多摩駅だ。通常は(多摩○○、○○多摩)といった名前をつけるのだが、この駅はそのまま多摩である。大きく出た名前だ。

と思ったら、多摩ではなく多磨だった。調べたらこの地域は、昔北多郡多村という名称だったという。昔は「多磨」と「多摩」の2つの表記があったようだが(大阪大坂みたいなものか)、近年に入り、「多摩」に統一されたのだが、この地域だけ「多磨」という名称を使い続けた、というのが真相のようだ。よい子は間違えないように気をつけよう

とはいえ、実はこの地域が多磨=多摩の心の中心ではないだろうか。そう勝手に決めるとしよう。

駅を降りていきなり目に飛び込んだのは多磨霊園の文字。そうかここは多磨霊園の最寄り駅だったのか。こうやって見ると、多磨駅周辺の街のほとんどが霊園だ。

こう書くと問題があるかもしれないが、多磨駅は霊のためにある駅と書いても過言ではない。いや、過言だ。

せっかくなので霊園にお参りに行くことにした。

 


多磨霊園をお散歩中

多磨霊園には様々な偉人が眠っているのだ
これは内村鑑三さんのお墓

僕が死んだら多磨霊園に埋めてほしいな

僕はすごく寂しがりで、いつも賑やかな街に住んでいたい。

アンパンマンの作者であるやなせたかしさんは、歳をとっても新宿に住み続けているらしいが、僕にはその気持ちがよくわかる。汚れた街でもいいから、人がたくさん集まるごちゃごちゃした場所にいたいのだ。

そんな僕は、死んだら多磨霊園で墓を建てたいな、と思った。

多磨霊園は広大で、たくさんの仲間がいるような気がするからだ。

渋谷や原宿が若者の街、巣鴨がおばあちゃんの原宿だとすれば、多磨霊園はご先祖様の銀座である。著名な文人も身を埋めているみたいだし、これだけ墓があったらきれいな女性の霊も面白い人もいるんじゃないか。退屈しなさそうだ。

江戸川乱歩も吉川栄治も北原白秋もここに眠っている。僕も文章を書いて生計を立てていたはしくれだから、ひょっとしたら仲良くしてもらえるかもしれない。

諸先輩に僕の原稿の校正をしてもらおう。「梅田くん、誤字多いよ」と菊池寛にダメだしされる。僕は代わりに諸先輩方に携帯小説の書き方をレクチャーしよう。文章硬いなー、もっと柔らかくしないと今の子は読まないですよ、なんて言いながら。

もしくはそれだけ作家がそろっているなら僕は編集者になろうか。三島由紀生さんは原稿用紙1枚いくらで原稿を書いてくれるのだろうか。とりあえず営業に行ってみよう。

…。

多磨霊園でそんな妄想を繰り広げた。

多磨には安らぎがあったということで。


多磨霊園

西武多摩川線多磨駅より徒歩10分で正面入り口。


まだまだちい散歩は続きます

 

 
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