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ひらめきの月曜日
 
秋を朱肉にしたくって

鶏頭は朱肉だった

鶏頭の花をそのまま使ったら、みごとに鮮明な印を押すことができた。なんでも朱肉になるわけではないことを思い知らされていた身にとって、これはものすごい驚きだった。
繊維質でできた、しっかりとした肉の部分があったからこそ、適度な着色が叶ったにちがいない。それってまさに朱肉じゃないか。
いろんなものをすりつぶしてもダメだったのに、ただ咲いているままの花を使ったらあっさりハンコが押せた。これはまるで例えて言うなら、ほら、その、まあなんだ、例えが思いつかないけど、とにかくそういうことだったのだ。

鶏頭は朱肉だったんだ。わーい!


テンション上がって押しまくったハンコ
(ふつうの朱肉で押した印がどこかに混ざっています)

 

よし! 町役場に行こう  

ついに手に入った秋色の朱肉。これでやっと、役場に行けるぞ。会社に提出する住民票をもらわなくてはならないのだ。


はやく提出しないと総務に怒られちゃう


住民票交付申請書をみつけ、さっそく記入する。そして申請書には、もちろんハンコを押す場所があるのだ。


朱肉をとりだす


役場のテーブルの上で花を散らしながら押印の準備をはじめる。花びら(なのか?)をひとつむしり、朱肉ケースに置いた。これこそが、ぼくがみつけた秋色の朱肉なのだ。


ハンコを朱肉につけて


きれいに押せた!


役場にあった用紙にもきれいに押すことができた。紙自体がピンク色なこともあり、やはりふつうの朱肉を使ったときほどはっきりとはしていないが、充分識別できるレベルだ。
はたして鶏頭で押した印の申請書で、住民票をとることはできるのか。


どうでしょう


しずかに撮影しようと思ったら、間違ってフラッシュをたいてしまい、役場中の人に写真を撮ってることがばれてしまった。あやしまれて判定が厳しくなっては大変だ。


なんか言われるかな


「ハンコが薄いので押しなおしてください」とか言われたりしないだろうか。ドキドキしながら待つこと数分。


無事とれました


鶏頭の花が朱肉だと、公的に認められた瞬間だった(ちがう)。

秋の色を絵具にして、たとえば絵なんか描けたらステキだなと思うけれど、絵ごころなんてちっともない。でも、ハンコなら押せるよね。なんて軽く考えていたわりに苦労をしいられた今回の企画。結局たったひとつの色でしかまともなハンコはつけなかったけれど、その色はたしかに秋の花の色だったので、ずいぶん嬉しかったです。
ハンコがあるのに朱肉がない。そんなときは、鶏頭の花をさがしてみてください。

ふつか経ってもまったく色あせない


 
 
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