いよいよ競技開始
では競技本番の様子を見てみよう。
古式打毬はまず両チーム4名ずつがそれぞれ馬にまたがって整列し、玉を一つ拾ったところから競技開始となる。馬の上から小さな玉を拾うこれだけでも十分に玄人技だということはお玉でやってみたからこそ言えるコメントだ。競技中も随時玉を拾うのだが、もちろん馬からは下りない。
全員が玉を拾い、準備が整うとおもむろに競技が開始する。ここからみな勢いよくゴールに向かって突進していくのだ。
これがかなりの迫力!どどどどどー
ポロではボールを相手チームのゴールへと運ぶのだが、古式打毬では各人それぞれ拾ったボールを紅白同じゴールに向かって入れに行く。
「ヒダ玉」と呼ばれる紅白のチームカラーの玉をまず11個ゴールへ入れる。するとスタート地点に「アゲ玉」と呼ばれる印のついた玉が置かれるのでそれを拾いあげ、同じようにゴールに入れたチームが勝ちとなるルールだ。
しかしこのゴールとなる穴がなかなか小さい。この穴に向けてみんな一斉に玉を投げ入れるわけで、勢いよく突進していった割には一度ゴール前で立ち止まって慎重に毬杖を使って「ぽん」と投げていくのだ。そのギャップがなんとも趣深い。
毬杖で玉をキープしながら馬で走るということ自体かなり難しい技なのだろう。ゴールへ向かう途中や投げる直前で玉を落としてしまう人も何人かいた。
ゴールの前には柵が設けてありこれより前に出てはいけない。よって投げた玉はゴールに入らなくても柵の向こうへ落ちてしまうのだ。そうなると次に投げる玉をもう一度スタート地点まで拾いに行かなくてはならない。
11個のヒダ玉を入れ終えるまでに馬たちはゴールとスタートとを何往復もしていた。
玉が入るたびに太鼓と銅鑼が打ち鳴らされる。加えて競技者達が馬を繰るときに「せいや」、玉を投げるときに「ほれ」と口々に言うので会場は祭りの雰囲気だった。
そしてさらに、各チームにヒダ玉が一つ以上入った後は、敵チームに対してディフェンスができるようになる。これが始まると競技はさらに混沌としてくる。