乗らない
そう、乗らないのだ。
なぜならこれはぼくが頭の中だけで考えた架空の旅行だから。実際には飛行機のチケットも持っていないし、現地での予約も何ひとつしていない。ついでに言うと大型自動二輪の免許も持っていない。飛行機は無情にもぼくひとりを残してすでにテイクオフしたことだろう。
こうして旅の入り口部分だけを楽しむ、という今回の試みは達成された。・・・なんというか、満足感はそれなりにある。「すかしたった!」みたいな裏切り方が気持ちいい。すかされたのは他ならぬ自分なのだが。
同時に、何となくもやっとした感じが残ることも事実。フライトを待つ男女の旅行グループはキャッキャと楽しげだ。それを眺める自分にふとむなしさがよぎる。彼らはたぶん本当に北海道に行く人たちなのだろう。ああ・・・
これ以上ここにいては、せっかくの思い出がだいなしになる。移動しよう。 |