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ひらめきの月曜日
 
旅の入り口部分だけを楽しむ

そうだ 京都、行こう

企画会議で「旅の入り口部分が一番楽しいからそれだけやりたい」という話をしたときに、あまり賛同は得られなかった。いま書いていてもこの楽しさが伝わっているのか、若干不安ではある。

ただ、これは自信を持って言いたいのだが
「新幹線の中で食べる駅弁とビールはうまい!」
これは多くの支持を得られるのではないかと思う。

そこで、新幹線の中で駅弁とビールを楽しみたいがために、急きょ京都旅行を思い立った。まさにJRのキャチコピー「そうだ 京都、行こう」を体現するかのような軽いフットワークでぶらりと旅に出る。


東京駅の浮かれている方
紅葉真っ盛りの京都は今がベストシーズンだし

今度はチケットがあるので堂々としたもの
浮かれっぷりを精いっぱい体で表現

 

2100円の駅弁とビールを買って新幹線へ

あまり計画を立てずにぶらりと行く旅も、これはこれでいいものかもしれない。心が軽くなる。紅葉に染まる美しい寺社仏閣をあてもなく見て回るだけで、それはきっと楽しいだろう。

しかも今回は大好きな新幹線に乗れるのだ。浮かれるあまり、普段は手を出さない2100円の高級な「叙々苑焼肉弁当」を買ってしまった。旅の高揚感というのはこれだから恐ろしい。もちろんビールも買って、ウキウキと車内に乗り込む。


普段のコンビニ弁当とは別次元だ.。むろん旨かった

この非日常な感じ、たまりませんね

新幹線は京都に向けて出発した。早速弁当の包みを解いて、缶ビールを開ける。さすがに叙々苑焼肉弁当は高級なだけあってうまい。肉の質や焼き方の加減などが・・・ええとアレだ、何かいい感じなのだろう。

それに加えて新幹線の中で食べるからなおさらうまく感じるに違いない。楽しい。

しかし、ほどなく目的地到着を告げる車内アナウンスが流れた。高級焼肉弁当はまだ半分近く残っているのに、急いで降りなければならない。


ええっもう着いたの?

大慌てで高級焼き肉弁当のフタを閉じて

もう〜なんなのよ〜

 

チケットが新横浜までだった

手元の券面は行先が新横浜までになっていた。べつに間違えたわけではなく、故意にそこまでしか買わなかったのだ。なぜなら今回の目的は旅の入り口部分だけを楽しむことだから、本当に京都まで行くことはできない。

東京〜新横浜間の18分がぼくの京都旅行のすべてだ。主な思い出は新幹線で焼肉を半分食べたことである。


残りはホームで食べた

なんか・・・むなしいぜ

いちばん楽しい部分だけをイイトコどりしたはずなのに、こんなにも虚しいのはどうしたことだろう。ひとり旅特有の感傷というやつだろうか。


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