おいしそうさよりもインパクト
大塚:「脂で肉を煮る」のと同じくらいインパクトあったのが高崎のスパゲティでした「高崎のスパゲッティは量が多い (林 雄司)」。すごい量で、どーんとしてましたよね。あれを見て、今年の食べ物記事は、美味しさよりもインパクトなのかなあとは思いました。
大きくて美味しそうな食べ物の写真を載せるのはデイリーポータルの得意科目ですが、比重が「美味しそう」よりも「大きくて」の方に寄った、という感じ。
古賀:あ、カキオコ「カキいっぱいのカキオコを作ろう!(玉置 豊)」もむちゃくちゃ美味しそうだけど、インパクトの方が先にたってますね。
そういや、大塚さんも グラタンを飲んでました!「グラタンは飲み物です」インパクトですよ。
大塚:あれはいろいろ人生が辛くてやっちゃったことだったので、許してください…。
いやあ、でもですね、インパクト系が強いのはデイリーポータルだけじゃないですよ。世間的にも爆盛りが改めてヒットしたし。ワンコインランチとか、B級グルメも細分化されて加速して。
古賀:塩(スイーツ)も以前として強いと。あれもギャップっていうインパクトですよね。
大塚:ねえ。クリスピークリームとか、カラフルでハイカロリーなものがもてはやされて。
古賀:カロリーゼロとか糖質ゼロの商品がばんばん出るなかで、景気よくにヒットしてるのはハイカロリー系なんですよねえ。
大塚:でも逆に、地味な記事も地味に支持されてる気はしました。自分の記事の反響で言えば、「練馬で、すっぱいビールが美味しかった 」のお店には、デイリー読者様がいっぱい行ったそうでして。記事のプリントアウトを持って行ったりとか。
嗜好品だからなのかな? 普通の食べ物にはお金かけないけど、嗜好品ならお金出すのかもしれませんね。お金はあんまりないけど、普通200円のビールを、珍しいビールだったら500円出してもいいよ、みたいな感覚はあるのかも。自分もそうだし。
古賀:そういえば、ビールってお土産買うときぐらいに財布の紐がゆるむなあ。
インパクトはあるけど、内容はスタンダード
古賀:全体的にはインパクトはあっても、割とスタンダードに攻めている感じでもあるんですよね。
大塚:スタンダードな方向で、エスカレートしてるんじゃないですか。徒歩で行くところは行きつくしたから、船にのって飛行機に乗って、とか。または時間をかけたり。
古賀:おお、なるほどー。確かに、船に乗ってめずらしい魚とかを獲りに行ってそれを料理するっていうきちんとした記事を玉置さんがたくさん書いたり、時間をかけた料理を丁寧に松本さんが作ったり「干しナマコの醤油煮が出来るまで(松本 圭司)」っていう、日常の料理としては現実的じゃない、言うところの「男の料理」みたいな記事が元気でしたよね。
玉置さんすごすぎて、包丁ひとつ研がせても本気すぎて「プロに包丁の研ぎ方を習いたい」、結果、マネ出来なくて実用性がないという(笑)。…そういえば住さんなんか、指圧師さん呼んで、ウドン打ってもらってましたね。「指圧師が打つうどん(住 正徳)」
大塚:住さんは…なんなんでしょうねえ。好きですけど。
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