叱られた訳がようやくわかる
おっさんのいう「ライト」は僕がデジカメのモニタを確認していた光のことのようだった。
「いや、これ、カメラですが、すみません…」
すこし歯向かったらさらに5倍くらい叱られた。おっさんはほたる鑑賞のイベントに参加してここに来た集団の一人らしい。最初にそうやって説明があったのだろうか。イベントに参加せずに別入り口から入ってきた僕はそんな話聞いていない。
おっさんの怒りは収まらないようだったが、真っ暗闇だったので二歩くらい引いたら見えなくなった。なんだったんだろうあの怒りようは、ほたるの親戚か何かか。
でも確かに暗闇でデジカメのモニタを点けてしまった僕が悪いのは確かだ。すみません。
しかしここから先、操作系のイルミネーションもみな消しておいたのだが、カメラを持ち上げるそぶりを見せるたびに周りから子供や大人のひそひそ声が聞こえるのだ。(写真撮っちゃだめなんだよ)(撮ったらいけないんだよ)(ほたるがびっくりするよ)
暗闇にいて四方から自分を批判するささやきが聞こえてくる状況を想像してもらいたい。狂ったかと思う、本当に。
これ以上周囲に迷惑をかけては申し訳ないと思い早々に退散した。 |