シンプルなほうがいい
いろいろ詰め込んで、もはやわけがわからなくなってしまったぼくの靴。こうなった場合、ばっさりと剪定作業をおこなうことが大切だ。 とりあえず元凶と思われるゴムボールは削り、具合のよかったスポンジ素材と、漫画みたいで面白いから踵のバネは残すことにした。
すっかり汚れた靴の裏のスポンジ。「期せずして道路を少し綺麗にしていた」というのが、ここまでの成果といったところか。
ここは冷静さを取り戻し、もう少しおとなしい素材へと回帰することにした。踵のスポンジに対して材質の異なる衝撃吸収材として、保冷材を使ってみることに。
ゴムボールのような高すぎる反発力はかえって負担になる。このくらいの低反発素材が結局のところちょうどいいのだ。
先ほどまでのバタくささがない。都会の洗練といった雰囲気だ。なによりラップを巻いていないのがいい。どうみてもあれではゴミだった。
だが靴職人の手により、スニーカーは新たな生命を得たのだ。
走りつづけてラスト・ラン
ついに完成をみたオリジナルジョギングシューズ。正直、かなりのスペックを誇っている。
ぼくは走りだした。もうバネの1本や2本どっかへ飛んでったって知らないふりして帰るもんね、というくらいの気持ちで。
少年漫画的大逆転
それはもう保冷材はズッタリ破れた。バネなんか飛ばしてやるという気持ちで走ったらほんとにどこかに飛んでいったので、みつけるのにえらい苦労をした。 だが、それでもなおこの靴は、そのへんのジョギングシューズには及びもしない衝撃吸収力を誇っている。「バカなことを!」君はそう言うだろう。だが確かにこの靴には、まだ明かされていない秘密があるのだ。
それはいったいなにかといえば、
衝撃を吸収する物を靴底につければいいってもんじゃないということが充分すぎるほどわかった。どういうことかというと、変な靴を履いて歩きまわったものだから、記事を書いている最中、ずっと腰が痛いのだ。結果、撮影の途中で役に立たないとはずされたゴムボールが、寝転がった腰の下に置いてマッサージに使うという形で、現在もっとも役に立っている。