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ロマンの木曜日
 
東京でトゥクトゥクに乗ってみたい

冬のトゥクトゥクより凄いヒマラヤのモンキー

ちなみにモンキーというのはホンダが1967年に発売したロングセラー50ccバイク。詳しくは検索して画像見てもらえばわかるけども、決して2年間30ヶ国を渡るのにふさわしいバイクではない。ちなみに安藤さんはダックス(モンキーの姉妹車)にかつて乗っていて、さらにインドにも行ったことがあるということで、この話題に積極的に食いつく!


笑顔で食いつきますよ。

「横浜からインドのボンベイ、今ムンバイだっけ。そこにバイクを送って、自分はタイからスリランカ経由でインドに入ってそこでバイク受け取って」

安藤「ナンバーってどうするんですか?」

「それは日本で国際ナンバーを取るんです。自分は多摩ナンバーの3番、東京多摩で『TKT3』ってのを取って。そしたら世界回れますよ。それで多摩の1番2番は誰だろう?って思ってたら、多摩の2番を持ってた人は分かったんですよ。インドのお寺で修行してるお坊さんがバイク持ってたらしくて」

−−でも30年前にバイクでバックパッカーなんて、日本人でぜんぜんいないですよね。

安藤「まずインド行く人がいないんじゃないですか?」

「まだ当時は『秘境』ですよね。インドからネパールの間に半年くらいかけて8千キロくらい走りましたよ。ヒマラヤの(標高)4000mくらいの所をバイクで行って」

−−当然ガソリンスタンドなんかないですよね?

「ポリタンクにガソリン入れて行きました。あと何があるか分からないから、アメ横で買った手錠とグルカ兵が使うナタみたいなナイフ持って。でも、バイク乗った日本人なんて珍しいから、すぐ情報回るんですよ。安宿に泊まろうとしたら噂になってたり。ただ、最初は体重80キロくらいあったから『デブだ』って噂だったのが、インドで腹壊して58キロまで落ちて別人みたいになったりしてね」


急にコミネさんが冒険家に見えてきました。


「インドの水はまともに飲めないんだけどさ、そこら辺の井戸とか水たまりの水をすくって、バチャンとやるとボウフラが下に沈むから、それの上の方を飲むんだよ」とかザ・サバイバルな話をサラッと繰り出すコミネさん。下痢くらいは序の口で、足切るのかな?と考えなきゃいけないくらいの虫刺されとか、新型インフルエンザも裸足で逃げ出すような話がゾロゾロ。

さらに中東方面に向かったコミネさん、そのタイミングで激化したのがアフガン紛争。


「アフガンでドンパチ始まってさ。カイバル峠っていろは坂みたいな所があるんだけど、周りは『バイクは危ないからトラックに乗せてもらえ』って言うんだけど、トラック来ないからバイクで行ったりね」

−−無茶しますねえ…。

「それで途中眠たくなって、バイクにもたれてウトウトしてたら誰かが肩こづくんだよ。誰だろうって思ったら銃構えててさ」

−−それは…山賊ですか?

「何だったんだろうね?それで来いとか言うからついていったら、10人くらいいる小屋に座らされて。みんな銃持っててね、でも誰も喋らないんだよ。もちろん日本語も英語も通じない。すっかり目も覚めてね」

−−そりゃ覚めます!やはり金目当て?

「現金とか時計とかじゃない?バイク乗ってるから金持ちと思ってたろうし。でもビビっちゃうと取られちゃうから、こっちも知らん顔して」

−−生死をかけたにらめっこ状態。

「それでしばらくじーっとして、そーっと帰ったら何も言わなかったね。それでカブールの方にバイバイ、って」

−−何か認め合う物があったんでしょうか…。

「でも次の日も川の中で身体冷やしてたらライフル銃持った奴が来てさ…」


撮影ついでに地元のお寺に連れてってもらいました。


観光客にいつの間にか解説を始めるコミネさん
「この掘り跡はイノシシだね。足跡もあるでしょ?」


さらにモンキーで1日最高700キロ走った話とか、フランスのドーバーで麻薬の売人と間違えられて拘留された話とか、イギリスでネッシーを見ようとネス湖に行ったら地元のおばさんに「日曜日は出ないよ。平日なら出るかもしれない」って言われた話とか、スゲェ話を聞かせていただきました。

この取材中、トゥクトゥクの見た目もあって行く先々で声をかけられてはおしゃべりを楽しんでたコミネさん。その人当たりの良さと好奇心と度胸が世界で生き抜いた理由だと思います、ホント。

と、トゥクトゥクとは全然違う話になりましたが。


−−こういうトゥクトゥクって個人で持ってる人って聞きます?

「渋谷のタイ料理屋とか、お店では聞くけど個人は聞かないねえ。田舎でとことこ走るんだったら、ナビがついたり最先端の車じゃなくてもこういう単純なやつでいいわけですよ。すべてが進化しなくても、故障さえしなけりゃこういう車も需要はあると思うんですけどね」


いま自分は車もバイクも持ってないし、乗ってた時期もあまり関心は持てなかったのだけど、トゥクトゥクなら欲しいなー。たぶんそんな人は自分だけじゃないはずだ!たとえば待ち合わせ場所にコレで迎えに来られたら嬉しいもの。嬉しくなる乗り物ってのはいいですよ!でも、コミネさん曰く…

「子供も小学校まではコレで迎えに行くと喜んでたんだけどねえ。中学校に入ったら嫌がっちゃって。迎えに行く時も『車で来て!』って指定するんだよね」

多感な時期は仕方ないかな…でもいつかまた喜ばれる日が来ると思います、絶対。


迎えに来られたら嬉しいよね。

去っていくトゥクトゥク。

エコでリサイクルで核家族向け

最近はタイでも都会の方はトゥクトゥクが姿を消しつつあるとか。たしかにバンコクなんかだとタクシーはバイクと四輪が主力だった気が。プーケットなんかは観光用にありましたが。買いたい人は今すぐ!むしろどっか日本の車会社が作らないかなー、まんまこのサイズで。


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