iphoneはライバルじゃない
ユビキタスとは、「どこでも当たり前のようにある状態」。
そして東京ユビキタス計画とは、いつでも、どこでも、だれでも必要な情報を得ることができることを目標とした、東京都のプロジェクトだ。
今回訪れた銀座のほかに、上野動物園でも同じような実証実験が行われている。(動物の情報や、えさやりの時間なんかが見えるらしいですよ。)
まずは一番気になっていたことを、率直に聞いてみた。
「いまだとたとえばiphoneでネットができたり、GPSもついてて位置情報もわかったりしますが、ああいうのはライバル視しているんですか?」
「いえ、ライバルではないです。私たちの目的はインフラの整備なので、私たちが街にタグを設置したとき、携帯やiphoneがその読み込みに対応してくれれば、そこにはユビキタス環境ができあがって、ひとつの成果になります。」
目的はインフラ整備なので、都の仕事は「タグを埋め込むこと」「タグの規格を広く普及させること」。今回触ったユビキタスコミュニケーターは、観光用途に作られたひとつの例にすぎない(すでに、ほかにも「だれでも」を実現するための、視覚/聴覚障害者向けのデバイスなどがある)。
だから携帯やスマートフォンもライバルではなくて、そういう機器でもこのタグを読めるようにして、便利に使ってもらえればいい、とのことだ。
いまGPSの位置情報を使ったサービスっていろいろあるけど、この方式なら地下や建物でも使えるし、精度もいいしでもっと可能性が広がる。
そんな中で、将来的には、企業が民間のサービス(お店案内とか、ゲームとか)を、自治体がバリアフリー分野などの公共サービスを提供していく、というのが、目指す姿だそう。
法律の壁もある
技術的には、いまのユビキタスコミュニケーターで、ほぼ完成しているとのこと。ただ、別の面での課題もある。
「現在、道路上に設置しているタグはすべて占有物の扱いになっていまして、設置するのに届出が必要なんです。これをガードレールや標識と同じように、道路附属物の扱いにしていかないと、広範囲への設置は大変ですね。」
そういうのをひとつひとつ乗り越えて、10年後までには、池袋や六本木、秋葉原など、都内10ヶ所の重点整備エリアで、ユビキタス技術を使った街づくりをしたいということだ。 |