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ひらめきの月曜日
 
人はどれだけ急にウソをつけるのか

ホラ吹き系はそれはそれで景気がいい

さてウソインタビューも終盤、7人目は派遣社員/ライターの伊東かんふーさん。以前「ジャッキー、もし歌舞伎町で闘わば」でも出演していただいた、名前どおりの香港映画通。そういえば、最初に「リアル系のウソ」か「ホラ吹き系のウソ」のどっちかに分かれるのではないか、と思ってたけど…。


香港映画のちょい役顔です。

−−昨日何してました?

「昨日は彼女とね〜、仕事終わってから彼女と会って。ジャグジー付きのね、ホテルに行ってみようかと。その日たまたまね、クーポンかなんかを出してて、ちょうど安い割引が聞く日だったんで
彼女と良い感じで。たまにはやっぱりね、生活もやっと落ち着いてきたんでね。豪勢にいいかなと。ただ狭い部屋にいてばかりなのもね」

−−彼女はどのくらい付き合ってるんですか?

「彼女はかれこれそうだなあ〜、10年くらいになりますかねえ」

−−おお、長い!

「実は前に結婚してた時からつきあってたんですけどね」

−−おっと、実は不倫だったと。

「そうですねえ。思いっきりね。まぁ…それくらいのことやってもバチは当たらないだろうと」

−−その彼女は芸能人に例えると?

「芸能人に例えると?う〜ん、そうだなあ〜。いちおう30代だから、水野美紀みたいな感じですかね。けっこう良い感じですよ!」

−−でも、そんな美人だったら他がほっておかないんじゃないですか。

「いや〜、もうそれは大変でしたね。それはちょっとね、話すのもこっぱずかしい話しなんですけど、やっぱり自分のアパートとかに前の彼氏が乗りこんできちゃったりとか、いきなり殴りかかってきたりしたんですけど。まぁそこはね、大坪さんもご存じのとおりいろいろ(格闘技とか)やってますから。腕折るところまではいかないですけど」

−−撃退してやったと。

「なんとかね、軽く腕を極めてね。『ちょっと落ち着こうや、オトナなんだから』と。彼女交えてね。彼女ずっと泣いてましたけど」

−−話は変わりますけど、今伊東さん仕事何してましたっけ?

「今は株関係ですかね。今中国とかアジア方面どうのこうの言われてますけど厳しいですよ」

−−期待の企業ってあります?

「そうだなあ…。やっぱりヤオハンかな!」


出ました、「ホラ吹き系のウソ」!いや〜、ここまでの皆のウソがしみったれて聞こえるほど景気のいいウソだなあ。もちろんジャグジーから彼女、ヤオハンと全てがウソなわけですが、どこか芝居がかった口調がそれはそれで生々しい。昭和の男感!

しかし、ここまで言うと逆にストレスなのか、「こんなウソつけるのは、(自分が満足できない)ウソの生活をしてるからですよ!満たされてたら出てこないですもん」と力説する伊東さん。せ、切ないがなるほど…。真実である日常にイラダチがあるからこそ、ウソのスケールが大きくなると。

さて最後はたまたまイベントのために東京に出てきていた、大阪のライブシアター・なんば白鯨のぶっちょカシワギくん。モナリザスという漫才コンビもやっている彼、ウソというテーマでどれだけ喋れるかと思ったら…。


中央がカシワギくん。ポッドキャスト番組のための上京でした。

−−ではさっそくですが、昨日何しました?

「昨日…はー、朝早く起きて、あんまり寝んと起きてもうたもんで、とりあえず昼くらいまでは起きてぼおっとして。掃除して片づけをしてたんすけど、昼過ぎからメシ食おうと思ってメシを食いに行こうか作ろうか悩んだんすけど、買いに行って作ったが安いと思って。それで食材を買いに行こうとおもったんすけど、買いに行ってそれからまた作るんなら食う時間遅くなるから、やっぱりあるもんで食おうかなと思って、とりあえずコメを炊こうかなと思って」

−−外には出ないの?

「ご飯炊けるまでに作れるもんあれば作るし、無かったらお総菜買いに行こうと思ったんすけど、コメ炊いてスイッチ押して起きたら4時やったんで、夕方やったんでご飯炊けてしまったんで、ご飯を食べるかどうか悩んで。中途半端にふりかけごはんだけ食べてもうて、それでとりあえず外に出んとなんも始まらんなと思うたんすよ」

−−それが何時くらい?

「それが6時くらいすね。1人で行くのもなって思って友達に電話したんですけど繋がらんくて、何となく出てブックオフ行っていつもどおり立ち読み軽くして」

−−何読みました?

「家で持ってるまんがの最終巻を立ち読みしてしまうってのがよくあるんです。家で探すの手間かかるけど、出て行ったら見れる。『特効の拓』の最終巻の確認をしようと。それと後はDVD買って」

−−何買ったんですか?

「『イノセンス』買いましたね。500円で安かったんで。あと飯食おうかなと思って、ラーメン屋にいこうと思ったんですけど、ひとりでカップラーメン化って家で食べて。あと、寝過ぎてた日って眠くなるやないですか?夜11時くらいの時計は覚えてるんですけど、気づいたら今日の朝みたいな。たぶん1時くらいに寝てたと思う」

−−のんべんだらりとした一日を。

「はい、何もない一日を過ごしてましたね。やらんといかんことはいっぱいあるんですけど、アレやらんとコレやらんとって優先順位つけてどれからやろうか考えながらも、何もやらずに終わってしまう、一番後悔するパターンですね」

−−ちなみに今仕事って何してたっけ?
「今僕がやってる仕事は、本を、安く古本やでみつけて、ネットで売るっていう仕事です。プレミア本とかの」

−−ああ、だからブックオフ行ってたんだ。

「平均でうまく回ると一日で5000円くらいまわったりする」

−−最近高かったのって?

「写真集系ですね。栗山千晶の写真集が300円コーナーにあって、ヤフオクで売ったら1万3千円になりましたわ」


あらためて文章に起こすと、この「どうでもいいけどリアリティある感」は凄いな…。これが最初の一問から即あふれ出てるのだから恐れ入る。さすが芸人!

さらにウソにまつわる話でこんな事を教えてくれた。

「昔友達にウソついたんですよ、ホームステイの外人が来てるって。それから何年もしてからその友達から『あの外人どうしてる?』って聞かれて。彼の中では僕んちに外人が住んでたことになってるんですよ。面白いですよね。ウソは未来への贈り物なんです」

ウソは未来への贈り物…なんかすごく良い言葉だけど、信憑性はまったく感じないなあ。その言葉自体がウソか!もしかして。


リアルな嘘の付き方・4

ウソは未来への贈り物(だといい)


さて8人に聞いた「いきなりウソをついてください」。スルスルと流れるように言える人もいれば、結構つっかえる人もあり。しかし脳をフル回転させることで、本人も気づかないルーツや願望が見えてくるのが面白い。まるで自らの内面を引き出す催眠術のようだ。ウソを磨けば自分が分かる!

あと質問する側は「自分のSっぷり」がわかりますよ。いやー、相手の困る質問考えるのが楽しかったあ。


ゼロから思いつくウソ、意外とムズい

数々のウソ話、リアリティを持って読めたでしょうか?ほとんどが一見すると「ふつうの日常の話」だけに退屈したかもしれませんが…試しに自分で考えてみてくださいって!意外と難しいから。しかし意外とホラ吹き系は少ないもんですね。



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