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ひらめきの月曜日
 
人はどれだけ急にウソをつけるのか

関心をくすぐるウソ、くすぐらないウソ

5人目は、日本では唯一というストリップティーズ(ストリップの動きを取り入れたダンスエクササイズ)の講師であるMIKAさん。彼女とは10年来くらいの友人なのだけど、サラリーマンしてたかと思うと海外でダンス修行をしたり、経験のハバでは自分の周りでもトップクラス。そんな彼女にウソをついてもらうと…。


セクシーな女はウソも上手い、のか?

−−昨日何してました?

「昨日?昨日は泳いでました」

−−どこで泳いでたの?

「沖縄で。一ヶ月沖縄でリゾートバイトをしてたんです。沖縄の恩納村で。プライベートビーチのあるホテルがあって安くていいんです。ナマコがいっぱいいるけど」

−−沖縄の思い出って?

「うみぶどう食べ過ぎておなか壊したことかなあ」

−−おすすめスポットってある?

「みんな言う万座とかいろいろあるけど、おすすめスポット…。そうだなあ。プライベートビーチの左の方に洞窟があるんですよ。秘密の場所でおすすめですね」

−−どういう洞窟なんですか?

「潮が引いてる時は中は入れるんですけど、中でボーッとしてると潮が満ちてくると出れなくなるから気をつけよう、みたいな」

−−今仕事は何してるんだっけ?

「仕事ですか〜。仕事はですねえ…。仕事はー、いろいろやってるんですけど(笑)。メインの仕事は歯科衛生士です!まだ始めて二ヶ月くらいで、基本的には受付なんですけど、患者さんの唾液吸ったりとかちょっとしたサポートも」

−−お医者さんはどんな人ですか?

「お医者さんがねー、ホント話合わなくってイライラするんですよ。意思の疎通が出来ないというか。そろそろやめたいんですけど」

−−じゃあ次はどんな仕事したい?

「そうですねえ、スカイダイビングのインストラクター」

−−やったことある?

「一回やってみただけなんですけど、資格をとりたいなあ」


「沖縄は行ったことあるけどずいぶん前ですよ。逃避したいのかもしれない(笑)。スカイダイビングとかも」と感想を述べる彼女。たしかにここまで出たウソにしても「やりたいこと」も結構あるなあ。わざわざ「今ツライ話」をする人はいない。

また、前ページで「自分の経験したことからしかリアルなウソはつけない」と能書き垂れてみたものの、彼女の場合「いろいろやってきたから、違った事言おうとすると選べないのよ(笑)。結局友達が最近始めたっていう歯科衛生士って言ってみたけど」と言う。選択指多すぎるのもウソつくのには弊害アリ、てことか。

続いて6人目!は整体師にして様々なバンド活動もされているタムラさん。彼もまた本業にしてもステージにしても会話が多い環境。始める前は「ウソは得意でもないですよ〜」と言っていたのだけど、先に言ってしまえば彼の嘘が一番スキがなかった!


−−昨日何してましたか?

「昨日はね、ずっと寝てました。風邪ひいてたんで」

−−どのくらい熱が?

「あのね、39度くらいで関節が痛くて一日寝てました」

−−ご飯は?
「ほとんど食べてないです。スポーツドリンク飲んだくらいで」

−−風邪をひいた理由って何か思いつきます?

「ひいた理由はないですね。体調を崩したんでしょうね」

−−今仕事は何してるんでしたっけ。

「仕事ですか、サラリーマンです。SEです。システムエンジニア。えーっと、COBOLとかC++とか情報系の。企業の中に入って中のメンテナンスをやったりとか」

−−ずーっとSEですか?

「もう7、8年ですね。その前はね、うどん屋さんで働いてました。バイトで。学生の時から。ずっとやっててそれからもやってたんですけど、定食にそろそろつこうかなと。『つるっと』ってお店なんですけど」

−−お店の売りは何でした?

「え〜、量が多いこと(笑)。言っても多かないんだけど、学生向けのお店だったから2玉くらい出てくる。学生街にあったから」

−−そういえば彼女とデートに行ったって言ってましたよね。どこに行きました?

「えーっと、お台場!お台場のビーナスフォート。彼女が行きたいって言ってたから、ついていったんです」

−−何買ったんですか?

「指輪」

−−おー、買ってあげたんですか?

「いや、僕の。ドクロをモチーフにした銀の指輪がほしかったんで。自分で買いました」


言ってる事は普通なのにツッコミづらい…。本人は気さくですよ!

もちろん「昨日は普通に働いてました。うどん屋で働いたこともないです(笑)」と言うタムラさん。こう見てみるとやりとりもあらためて見ると自然。ただ、質問しづらいのだ、こっちとしては。

彼のウソのスキの無さ…それはどこから来るかというと、前半の「寝てた」と「SE」という部分。寝てたという事実、そしてSEという自分の興味ないジャンル。この2つを出されてしまうと質問が思いつかないのだ、こちらからすると。すると会話が続かない。

中にはSEについてガッツリ聞いてくる人もいるだろう。うどんやデートなら思いつくのに…。相手の質問を許さない「相手の興味ないジャンル」、これは意外と強い。相手との会話を膨らますのではなく、シャットアウトするためのウソ。これもまたどこかで使えそうな。関係悪くしたくはないけど、会話はとっとと終わらせたい時とかね。


リアルな嘘の付き方・3

相手が興味のないジャンルだと

質問がなくなり終了


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