次は五平餅だ
翌朝、8時ごろに軽い朝食を済ませるといきなり家全体が「さあ、“ゴヘイ”だ」という空気になった。
ゴヘイ、というのは五平餅のこと。ウィキペディアによると
木曽・伊那地方から岐阜、東海・三河・南信濃(いわゆる三遠南信地方)に伝わる郷土食。
とある。私のイメージでは、サービスエリアに売っているような、アイスの棒をもう少し大きくした平たいヘラに草履のような形でご飯をくっ付けて、タレをつけて焼いたものがザ・五平餅。
おばあちゃんが作るのはそれとは形がちょっと違うという。ヘラではなく、竹串に丸く握った団子状のご飯を2つさすのだ。タレをつけて焼くのは同じ。
五平餅も地域によってちょっとずつ違うのだ。こういうところもまた郷土料理っぽくてグッと来る。
おばあちゃんのゴヘイはふるさとのゴヘイ
また愛知や岐阜の郷土料理の本を開くと、私のイメージするサービスエリア型の五平餅を作る地方もあったが、特に岐阜県恵那市周辺でおばあちゃんスタイルの五平餅を作るという記述があった。
恵那市といえばおばあちゃんの出身である瑞浪市のお隣だ。おばあちゃんの作る五平餅は住んで長い愛知のものではなく、ふるさと岐阜のものだった。
実はこの日はみんなでゴヘイを食べた後、その瑞浪まで車で行ってお墓参りをする予定になっていた。行く先の土地の料理を行き着く前に食べる形か。
せっかちのおばあちゃんはとにかく早く食べちゃって出発したいらしく、手もいつもにまして早い。
大丈夫か、今朝ごはん食べたばっかなのに、もう昼ごはんができちゃうぞ。
茶碗で「計量」
せっかちが後押ししてか、箱寿司のときの目分量ぶりは今回も炸裂だ。おばあちゃんは昨日の箱寿司で寿司がやたら薄くなったことを気にしているようで
「今日はちゃんとご飯の量を測ろうかね」
というと、茶碗を取り出した。これ1杯をご飯の団子1つとするようだ。さっさとお釜からご飯を茶碗に盛っていく。
おばあちゃん、なんかそれ多分計量じゃない気がするよ!
平行してタレ作りも
あわあわしながらも、私たち孫一家も作業に加わった。どれくらいの力を入れればいいのかわからないが、なんとなくおばあちゃんがきれいに丸くしたご飯を見本に団子を握る。ぎゅ、ぎゅ。
団子作りの人員が足りていると横目で確認すると、おばあちゃんはやおら外へ出ていった。
「山椒、採ってくるわ」
山椒? なんで? あ、待ってください、写真撮らせて! と思ったら、もうおばあちゃんはおもてから摘んで戻ってきていた。早ええ。 |