僕の鼻の高さ、1センチ
目安の紙を貼ることが出来ないのならば自分で書いてやろう。と、いうことで丁度真ん中から何センチで顔のパーツが来るのかを調べた。
自分の顔をプリントして見るのも意外な感じがしたが、数字で表されるとまた驚く。だって、鼻の一番高い所からその下の所の高さが1センチ!俺の鼻の高さ1センチ!ましてや上唇との差は5ミリ!たったの5ミリ。
驚いた、鼻って高いと思ってた。顔界では他の追随を許さぬ位に圧倒的な高さを誇るもんだと思ってた。鼻はワイの通天閣やーって思ってたけど、実際の通天閣みたいに周りのビルに高さ負けてた。
いや、実際には鼻は負けてないけど、上唇プッてしたらあっさり抜かれる位の差。もう、誤差。誤鼻。
「クレオパトラの鼻があと3cm低かったら世界は変わっていた」という言葉があるが、僕の場合、3cm低かったら、目よりくぼむ。顔の中で鼻が一番低くて蟻地獄みたいな形の顔に。顔地獄。
人と話してたら相手が距離感掴めず徐々に近づいて来るみたいな、そこをパクッ!みたいな。3cmってのはそれくらいの高さだ。クレオパトラの鼻も逆に異常じゃないか。
鼻以外も顔はミリ単位で形作られてて、1mmずれたら違う顔になるんじゃないかという位に絶妙なバランス。世間一般でかっこいいとか可愛いとか言われてる人、あんたらある意味奇跡だよ。
後は感覚
手書きの目印で大丈夫かなと思ったが案外出来るもんだ。微妙に 鼻が高く見えたりするのは、角度の問題。真横から見たらちゃんと 僕の顔。壷と言うより柱っぽくなったがまだまだこれから。
後はもう目印も付けられない、自分の感覚を頼りに丸くする。少し削って輪郭チェック、少し削って輪郭チェック。もう写真を見なくても自分の横顔ならある程度分かる。
自分の顔だけに特化した輪郭職人。特殊な作業してたらこの競技がオリンピックにあれば金メダル…とか思うけど、オリンピック競技になったらみんな練習するから勝てそうにないよね。
発泡スチロールを使うと家が地獄になる
丸くなってきたら最後の仕上げ、紙やすりで表面を綺麗にする。ここまでも画面端に見えていたかも知れないが、作っている間、家が地獄と化していた。
手に負えない。
カッターで切るのはまだしも、やすりがけまで家の中でやってしまったからどうにもならない。1mmも無いだろう大きさの発泡スチロールが部屋中を舞う。しかも静電気を帯びてそこら中にくっつく、くっつく。
信じられない所まで入り込んでいて、片付けられる気がしない。何の準備もせずにいきなり髪を切り始めた。しかも野球部全員。くらいのやっかいさ。
食事をする時は極力確認しながら食べるようにしていたが、多分結構食べちゃった様な気がしている。片付けるまで頭痛かったし。
部屋を片付けてしばらく経つが、未だに発泡スチロールが点々とある。掃除機じゃなくて、粘着テープのコロコロをした後でもしばらくしたらまたあるのだ。
この部屋に住む限り発泡スチロールからは逃れられない。二度と発泡スチロールで工作しない。そんな覚悟と共に壷は出来上がった。
予想以上に綺麗に仕上がった俺壷。パッと見、壷とか焼きかけのバームクーヘンみたいだが、意識してみるとちゃんと俺。どの角度に顔を合わせてもちゃんと俺。普通にどっかに置いてそうで、俺。
何これ楽しい。実際何かに使ってみよう。