大人が一人で滑り台を遊ぶ敷居の高さ
鞄の中でうどんを発酵させながら滑り台のある公園までやってきた。 ここはローラー式の滑り台は100m級のものから中・短距離のものまであって、 アウトドア派のうどん職人には聖地と呼ばれている。
そしてそういう公園はたいてい子供たちに大人気だ。
長いローラー滑り台があるところは人気の公園だろうから、 ある程度の人手は覚悟していた。ただこれは想像以上だった。 どうも遠足の時間と鉢合わせしたらしい。
普通に滑るだけならムリして出来ないこともないが、 しかし尻にうどんを敷いて滑ようというのだ。 うまくいくかどうか分からない試みをするにはリスクが大きすぎる。
いままで数々の困難を乗り越えないできた経験から、ここはしばらく引くことにした。
ようやく滑ります
公園の周りの施設やら見て回り、2時間ぐらい時間をつぶして たら、いつの間にかさっきまでひっきりなしに聞こえていた子供たちの絶叫が静かになっていた。
さっきまであんなに賑やかだったのが一転して誰もいなくなってる。願い(呪い)が通じたことに感謝しつつ、いつまた子供たちが戻ってくるか分からないのですぐに滑ることにした。
とりあえずまずは 中距離の滑り台でどれくらい延びるか試す。
普通こういうのは短いのから試していくのが順等だが、 この時は慌ててたのでそんなことは考えられず、自然と向かった先が中だったのだ。
それは「とりあえず中ぐらいで」が合い言葉として生きる人の性でもある。
生地とはいえお尻に敷いたら罪悪感があるかと思ったけど、足踏みに比べたら こっちの方がまだ全然自然だと思える。ちなみに敷いてる、というより何かが挟まってる と言った方が感覚は近い。
消えたうどん
滑り終えたらお尻に敷いたはずのうどん生地がどこかに消えていた。 人類史上初のうどんミステリー。なんて適当なことを言ってしまうぐらい動揺してる。
まだあるなーという感じは確かに途中まであったんだけど、 途中からお尻が痛くて麻痺して分からなくなった。 だからいったいどこで無くなったのかも分からない。
早く見つけないと子供たちに拾われてオモチャにされる可能性もある。 慌ててスタート地点まで戻り、もう一度滑って探すことにした。
くしゃくしゃになったそれは滑り台に取り残されていた。
もしかしたらローラーの隙間から地面に落ちてるんじゃないか、だとしたらそれはそれで 延びてそうだなと心配しつつも少し期待してた面もあったのに、見るも無惨である。
おそらくお尻にそのまま敷いたのが良くなかった。まな板のように平らじゃないから、 安定しなかったんだろう。しかし代わりになるようなものは持ってきてない。
結局この日はあきらめて、持って行ったうどん全て普通に延ばして一気に食べた。