デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ひらめきの月曜日
 
ベトナムの人は、蓼(タデ)が好き!?


数年前、ベトナム旅行に行って衝撃だったのは、
「ベトナム人は、半端なく、ハーブを食べる」
ことだった。
料理の中に、きざんで入っていたりするほかに、付け合わせで、わっさーと、香り高い葉っぱが、山盛りで出てきたりする。
コリアンダーにミント、ドクダミのほか、様々な種類のものが入っていて、匂いが立体的に、口の中に広がる。
ベトナム料理って、こんななの!? と驚いた。それまで日本で食べていたベトナム料理は、やさしい味だった。でも実は、インパクトが強い料理が、多いのだ。 日本でも、強烈なベトナムハーブが食べたいな、食べられないかなと、ずっと思っていたのだけれど…。
なんと、今年になってやっと、一般流通することになったんだそうだ。いえーい!日本初のベトナムハーブ一般販売を始める、『Farm Regalo(岐阜)』の伊藤譲さんと、ベトナムハーブに詳しく、ハーブをキッカケに伊藤さんと意気投合したという、『ベトナム料理レストラン GINZA ラ・スコール』の中塚雅之料理長、フードクリエーターの森泉麻美子さんに、お話をうかがった。

大塚 幸代



伊藤さんの農園、『Farm Regalo(ファーム・レガーロ)』。

――もともと、伊藤さんがベトナムハーブと出会ったキッカケって何ですか。

伊藤「大阪で『ベトナム屋 DZO!(ヨー)』という店をやっている、ミキくんという友人がいるんですが…、彼が4年前、中津川の『コムコムゴーン』という店に移ってきて、その時に、コリアンダーを作って欲しいと頼まれたんです。
ウチはもともと兼業農家で、有機栽培でお米と野菜を作っていたんですが、じゃあ、畑の一部でコリアンダーを作ってみようと、始めたのが最初です。
他のベトナムハーブは、とあるベトナム料理関連の卸しのお店に頼まれて、試作を始めたんです。」

中塚「その卸しのお店は、3年前から、関東の農家さんに委託して、試作していたそうなんですが、その途中で伊藤さんと知り合ったんですよね。」

伊藤「ベトナムハーブが、たまたまウチの土壌が合ったらしく、よく育ったんです(笑)。それが去年なんです。」


わさわさ育っている、ファーム・レガーロのベトナムハーブ! 岐阜とベトナムの土壌が、似ているのでしょうか!?

――ベトナムハーブを育てたい、と、ベトナム料理関係の皆さんは、どのくらい前から思っていたんですか?

森泉「さがしていた人はいると思いますが、とにかく手に入らなかったので…。どうでしょうね?

中塚「僕は以前、『ベトナミーズ・シクロ』(六本木)という店の料理長をやっていたんですが、その当時、10年くらい前から、ずっと欲しかったですね。日本産オリエンタルバジルなどは、季節に一瞬出回ったりすることもあったんですが、通年とおして入手するのは無理だったんです。
千葉の山奥に、野生化したベトナムのタデがあるって噂をきいて、本気で取りに行こうかと、思い詰めたことが、あります(笑)。」

森泉「ベトナム人の方がベトナムから送ってもらってるケースとか、地方で直に育てて使っている、ベトナムレストランの話はありましたが、一般の方向にもオープンに販売する…っていうのは、『ファーム・レガーロ』さんが初めてなんですよ。」

――ラオラムっていう、ベトナムのタデは、強烈ですよね。ドクダミとコリアンダーの中間のような、何ともいえない味がして…。日本ではタデを食べる文化って、ないですよね。

伊藤「実はタデは日本でも、懐石料理で使うようですよ。蓼塩っていうものがあります。」

中塚「蓼酢はポピュラーですよね。焼き鮎に添えるのが定番です。」

――え、日本でも、タデを薬味として、食べる文化があるんですね。知りませんでした…!

 

栽培成功した、各種ハーブを、見せていただいた。


ラオラム、これがベトナム料理で使われる、ベトナムのタデ!

ラウオム。「シソ草」という別名アリ。

オリエンタルバジル、イタリアンバジルと違い、シソっぽい香り。

「生えてると、甘くていい匂いがします。日本人向けのハーブだと思います。」(伊藤)

「タイ料理でも、よく使うハーブですね。」(森泉)


シナモンバジル。バジルなんだけど、シナモンの香り。

「これは、欧米の東南アジア料理屋で、よく使われているハーブですね。」(中塚)

ハッカ。ちぎると、はげしいハッカの匂いがします。

「ミントではなくハッカは、もともと日本の古来種ですね。同じような品種のものを、ベトナム料理でも使います。和え物入れたり…。」(中塚)

スペアミント。

「ミントだけで、数十種類はありますよ。ミント自体は西欧料理でよく使われますよね。日本でもハーブ園に行くと、いろんな品種が見れます。」(中塚)

ディル。ベトナムでは、フランス統治時代に入ってきたハーブで、北欧やロシア、ブルガリアなどでよく使うものだそう。

「今回紹介するハーブ類のなかでは、一番野菜っぽい使い方がされるハーブですね。」(中塚)

 

――日本で入手困難なのは、ラオラム、ラウオム…あたりでしょうか。

森泉「生のハッカと、オリエンタルバジルも、あまりないですね。
日本で入手可能なディルも、ベトナムでは茎まで食べるんですけど、茎まで売ってるところって、ほとんどないんです。鎌倉の野菜直売所で買えるらしいとか、ピンポイントには存在するようなんですけど。」

中塚「日本で一般的に食べられる料理だと、あまりクキを必要としないんです。だから日本では、通常は葉先しか、流通していないんですよね。」

 

調理例(炒めるもの、スープなどに入れるもの、生で食べるもの)を試食させて頂いた。


美味しいベトナム料理をご紹介! >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.