十条ふきんにて
羅漢寺川で衝撃をうけて、都内の湧き水について調べてみた。すると、同様に住宅街の真ん中で唐突に湧いているような水がいくつか残されていることが分かった。
「東京水」をさがして、次は十条へ行ってみよう。
やってきたのは東十条の駅前だ。まったく湧き水があるようには見えない。あるのはコンクリートと鉄道だけで、そんな自然はどこにも残されていないように見える。
しかし実は上の写真の中に、すでに湧き水地点が見えているのだ。左手のマンションのふもとの階段に目をうつすと、こうなっていた。
さっきから住宅街のあやしいパイプから水が出てる写真ばっかりなので生活排水にしか見えないかもしれないが、れっきとした自然の湧水なのです。
東十条駅に西から向かうと、急な下り坂になっているのが分かる。このあたりは荒川や海によって削られた崖が線路ぞいに続いていて、さっきと同じ仕組みで地下水がここに露出しているのだ。
崖下を右手にいったところに湧水地点がある。画面奥にみえている線路のあたりは昔は海で、崖は波に洗われていた。
水にさわってみると、気温に関係なく(この日は暖かかった)ひんやり冷たい。なめてみる。うん、とくに何もない。ふつうの水だ。両手にすくって思い切って飲んでみた。大丈夫。冷たくておいしい。
繰り返しますが、これらの水は本当は飲まないほうがいいです。バカなのはぼくだけで十分。自然の水には、危険な化学物質や細菌が含まれている可能性があります。
でもこのときのぼくは、自分の土地の水すら飲めないでそれでその土地に生きてると言えるのか、みたいな妙に高ぶった気分だったのです。