護国寺ふきんにて
次に訪れたのは文京区の護国寺ふきんだ。このあたりには弦巻川と水窪川という、暗渠マニアならだれでも知ってる暗渠がある。由緒ただしい水スポットなのだ。
護国寺から
江戸川橋方面をのぞむ
このまっすぐの道の両脇(講談社の裏とか)はけっこうな崖になっているが、それはこの2つの川が削ったのだ。この先には神田川があり、川はそこに注いでいた。
そしてその合流地点に近い、鳩山会館の南側の崖に湧水が残されているということをきいた。さっそく行ってみよう。
悪くない崖、出現
そういえば当サイトの創始者である林さんは崖好きなのだった。いままでピンと来てなかったが、今日3つ崖をめぐってきて、その気持ちがちょっと分かった。いい崖には、何かがありそうな予感がする。
むむむ・・?
そこには確かに湧き水らしきものがあった。石積みの崖からは唐突に木の管が飛び出して、水が垂れている。しかし、水の量はあまりに少ない。湧く、というより、にじむという感じだ。
ちょっぴり
ここの水も、以前はもうちょっと湧いていたのだろう。でも今の姿はあまりにさみしい。以前の姿を見ていた人はいないだろうか。
じつは東京のこのような湧き水に関しては、にわかのぼくなんかよりはるか昔から注目していた先達がいる。「東京の水 2009 fragments」を主宰する本田さんだ。
つつー
本田さんは、これらの湧水について20年以上も前から注目していた。上の写真は本田さんからお借りしたもので、同じ崖の10mほど離れた地点の湧水について、2005年当時の姿が写っている。
やや見づらいが、画面真ん中、バケツの上部に水の筋が透けているのが見える。
この地点については、現在の状況はと先の写真と同様でなので、すくなくとも6年前は今よりは水量が多かったことが分かる。とはいえそれでも羅漢寺川や十条にくらべるとけっして豊富とはいえないのだけれど。
涸れてしまった湧水
都内の湧き水は、いまどんどん涸れていっている。
東京の表面はほとんどアスファルトだから、降った雨は地下に沁みず、排水溝から下水管をとおって直接大きな川に注いでしまう。なので地下水がたまらない。
神田川の源流である井の頭池も、ずいぶん前から湧き水が涸れて、いまではポンプでくみ上げている。だからあれは実は人工の流れだ。
これは近くの湧き水の1997年のようす。わずかに水が湧いている。
なので、透水性舗装といってアスファルトのすきまを多くしたものを都内に少しづつ増やそうとしているが、絶対量が少ないし、すぐ目詰まりしてしまったりして、あまり効果がないらしい。
同じ場所の2010年。完全に涸れている。この2枚も本田さんの提供によるものです。
いまは湧き水や井戸の時代じゃない。だからこれらが涸れてしまってもぼくはまったく困らない。でも、今でもあるということを知ると、なくなってしまうのはさみしい。