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ロマンの木曜日
 
七輪で暮らす48時間

洋食と言えば、牛肉という貧困さ


半額の牛肉と国産ワイン。

七輪の扱いにも、かなり慣れてきた2日目。
グランドフィナーレには「牛肉の赤ワイン煮」を選んだ。「難しそうな洋食」と言えば、「牛肉の赤ワイン煮」しか頭に出てこない僕の発想の貧困さを笑ってくれ。

赤ワインを、沸騰しない程度まで煮立て、(七輪で)
しかし材料を買ってきた後、ネットで詳しいレシピを調べたら、その想像以上の複雑さに卒倒した。
まずは、牛肉を赤ワインに30分浸けるところから始まり、総工程は4時間に及ぶ。使う材料の多さもハンパ無い。聞いたことの無い名前の材料もあったので、めんどくさいからそういうのは省いた。

あらかじめ赤ワインに浸けた牛肉に小麦粉をまぶし、
フライパンで焦げ目が付くまで、強火で焼く(七輪で)

七輪に火を起こしてすぐは、炎が出て強火なので、焦げ目をつけるにはやりやすい。カリッといい感じに表面が仕上がる。
あれ、七輪って意外とこの料理に向いてるんじゃないか。さて、続いての工程では各種野菜を炒める。

この工程でも、火起こし初期の強火をそのまま活用。

そして、さっきの肉に混ぜて、トマト缶を加えて3時間煮込む。

上の写真の頃には、ずいぶんと炎も弱まり、煮込みにほどよい感じになってきた。
このあと火はさらに弱火に向かい、赤ワイン煮は最高の状態へと仕上がっていく。鍋も焦げ付かない。もし焦げ付きが心配なら、七輪ごと足元にもってきて見張ればいい。暖房にもなって完璧だ。

七輪、やっぱりお前はひとつの宇宙だぜ。


完成。赤ワイン煮込み on 七輪。

七輪は「赤ワイン煮の友」と言ってよい


さっそく試食します。(パンも焼いた)

うまい! 激ウマの仕上がりだ!
遠赤外線?のおかげ?かは分からないけど、3時間煮込んでも、全く焦げ付かずに仕上がった肉の味が絶品。そのまま結婚式の料理に出てきても、全く違和感の無い味だった。
そして、3時間経ったあとの炭火でトーストしたパンがまた絶品。
朝はあっという間に丸焦げになったけれど、夜はこの弱火の炭火が絶妙な火加減で、朝と同じパンとは思えなかった。

パン、マジうまい! さくさくふわふわ!

はからずも、炒め段階の強火から煮込み、そして最後のトーストまで、七輪の火力変化は「牛肉の赤ワイン煮」を作るのに最適な熱源であることがわかった。
今度、煮込み料理を作るときは、間違いなく七輪を持ち出して作ろうと思う。

ありがとう、七輪。(BGMにダンシング・クイーンが流れる)

48時間が終わった。
最初は「やっぱり不便でした。ガス万歳」みたいな感想で終わるかと思ったが、やってみると七輪がどんどん好きになり、最後には安心感さえ覚えるようになった。
あたたかいもの、おいしいもの、それはみんな七輪からやってくる。そういう感情が自分の中に育ってくるのだ。まるで母親を想う気持ちのようだった。
そんな暖かいぬくもりを心にも運んでくる七輪、晩秋のお供にぜひ1台、自宅に備え付けるといいと思う。

個人情報の保護も、お願いできます。(僕の履歴書)

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