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ひらめきの月曜日
 
通勤タイムアタック!

 

命を電車に預ける

動け!動け!動け!

というシーンがなにかにあった気がしたけど、あとで調べたらエヴァンゲリオンだった。見たことない。見たことないけど今なら主人公の気持ちがわかる。電車、動け!

結局、ゴーストがホームに到着するのと入れ替わりで、電車が出発した。なんとか逃げ切った形だが、しかしすぐに昨日の電車がやってきて、ゴーストも電車に乗り込む。


2つ先の浜松町駅に着いた

僕が浜松町についたとき、イヤフォンからは「次は浜松町」のアナウンスが聞こえてきた。ひと駅弱のリード。しかし山手線のひと駅は短く、差は小さい。しかもこちらは運転調整のため、各駅で少し長めに停車している。電車のスピードも遅い。


駅ごとに着実に縮まっていく差

次の田町駅に停車中、ゴーストも田町駅に着いた。続く品川駅、まるでエコーがかかったかのように「次は品川、品川です」の声が2つほぼ同時に聞こえ、イヤフォンからのブレーキ音とともに停車。


追いつかれた!!

ゴーストもいま同じ景色を見ている


あきらめ

追いつかれた!といっても別にとって食われるわけではない。ゴーストはしょせん仮想の存在だ。でもタイムアタック的にはまずい展開。

電車が運転調整を続けているいま、このペースでは明らかに相手有利。半ばあきらめ気味で、フラフラと空席に座る。


もうだめだな

席に座ったことで少し緊張も緩み、しばらくボーっと別のことを考えていた。電車は大井町を出たところ。次が会社のある大森駅だ。すると不意にイヤフォンから電車の発車ベルが聞こえてきた。

あれ、と思う。いまごろゴーストは僕より先行しているはず。先行していて発車ベルが聞こえるということは大森駅にで降りているはずだが、聞こえる音は明らかに電車内のものだ。

しばらくしてまたイヤフォンからアナウンス「次は、大森、大森」。


こちらはまもなく大森だ

品川で追いつかれ、完全に逆転されたかと思ったこのレース。なんと追い越されていなかったようなのだ。現在、半駅程度の差をつけてこちらが優勢。


大森駅に到着、レースはクライマックスへ

 

 

ふたたび勝利を確信

僕が改札を出て駅を出て駅前のコンビニの横を通過した頃、ゴーストが改札を抜ける「ピッ」という音が聞こえる。差は大きいぞ。


秋の空気を楽しむ余裕すら生まれてきた

ここで急にゴーストが全速力で走り出すことでもなければ、確実に勝てる。そしてそうじゃないことは、自分が一番よく知っている。だって俺、きのう走ってないもん。

レース中であることも忘れ、気分は凱旋パレードだ。こんなに晴れやかな気分の出勤は久しぶりである。

そのまま会社のあるビルに入りエレベーターに乗り編集部オフィスへ。勝負あり。


おはようございます

 

勝利

僕が席についてから1分ほどすると、イヤフォンからゴーストの「おはようございます」の声が聞こえてきて、それはそれは生気のない声だった。朝の挨拶くらいちゃんとしたほうがいいんじゃないかな、と思った。俺が。

で、このゴースト対戦、やってみた感想ですけども、すっごい面白かった。何が面白いかというと

・姿が見えないのに足音だけはずっと聞こえる、ゴーストの不気味な存在感

・イヤフォンからの音で、相手の居場所を推測する楽しみ

・単純に抜きつ抜かれつ競走する面白さ

と、この3つの楽しみが同時に味わえるのだ。ちょっとでも興味を持った方はぜひ一度やってみて欲しいです。面白さは保障します。

次ページでは、ボイスレコーダー以外にゴーストを作る方法がないか、あと2つほど試してみます。

 

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