港での出荷作業
ここの漁師の仕事は魚を獲って港に運ぶところまでではなく、船の上に続いて魚に合わせた処理をして、出荷したりセリにかけたりするところまでが仕事となっている。家に帰るまでが遠足だとするならば、魚を出荷するまでが鴨川の定置網漁なのだ。
特別な処理をした魚には一匹ずつ、鴨川の定置網で獲れたこと、そして処理方法が書かれたタグが付けられていく。こういったタグは松葉ガニなどでは見たことあるが、1匹数百円のサバにまで付けているのがびっくり。確かにこれがあれば魚を買う時に選ぶ基準が増えてうれしい。
このタグは鴨川漁協の人達にとって、出荷する魚に対する自信と責任の表れなのだと思う。
このように学ぶことだらけだった定置網漁取材だったのだが、実はこれで定置網保有の夢をあきらめたわけではない。
確かに鴨川のような大型定置網は私などの器には収まらない地域の共有財産のようなものだと理解したが、この取材後に富浦漁協の人から一人二人で運用できる超小型定置網というものが存在するという情報を聞いたので、今度はそっちに狙いを変えて生きていきたいと思う次第だ。
どこまで本気なのか、もはや自分でもわかっていない。
帰り道の話
この日は朝からうまそうな魚を見ていたので、これは絶対にうまい魚を食べて帰らねばと同行いただいたカメラマンと盛り上がったのだが、水曜日は休みの店が多くてなかなかいい店が見つからず、だいぶ鴨川から離れてから入った回転寿司で、思いっきりはずしてしまった。
それはそれは切ない寿司だった。
取材協力:鴨川市漁業共同組合