ダムの命名権、買いたいんですけど

命名権は年額最低30万円で5年間の契約なので、もっとも安く見積もっても150万円かかってしまうけど、それでダム（の名前）が持てるならダム好き冥利に尽きる。ここで契約書にサインするから僕に売ってもらおう。

「・・・（笑）」

「個人で買いたいなんて人がいるなんて、まったく考えていませんでした。想定外です。メリットが思いつきませんし、看板などの書き換えも負担してもらうことになるので、結局維持が大変だと思います。」

「もちろん応募されても受け付けないことはありませんが、基本的には企業を考えています。」

やっぱりダメか。

実際、僕が買ったとしても自分の名字＋ダム名、なんて恥ずかしくて意味不明なのは避けたいので、何と名づけていいか悩む。看板の書き換えも、1枚数万円から数十万円かかるものもあるそうで、売る側にしてみれば個人だと資金的な体力も不安だろう。

そうすると、いちばんいいのは地元でがんばっている企業ということになる。具体的に問い合わせや反応はあるのだろうか。あと、個人的には地元の人々がどう思っているのかも気になる。

「問い合わせは何件かいただいていて、中には突っ込んだ話をしてくる熱心な企業もあります。地元の企業が大半ですが、1件だけ東京の会社からも照会がありました。」

「でも、いちばん多いのは他県の河川管理部署からの問い合わせですね（笑）。どうやって話をまとめたのかとか、法的に問題ないのかなど興味を持たれているようです。地元の方々からは具体的な反応はありません。」

政策ひとつ、世論ひとつで身動きが取れなくなってしまう役所という性質上、一般企業と比較すればどの自治体も現場の雰囲気は停滞気味だろう。そんな中、河川構造物にもネーミングライツを適用した今回の試みは、大きな風穴を開けることになったと思う。

でもひとつ気になっていたのは、冷静になって考えると30万て安くないか、ということだ。手続きなどの諸経費だけでマイナスになってしまった、なんてことはないのだろうか。

「同じ土木部の都市計画課で以前から行っている公園のネーミングライツを参考にしました。公園でも年間20〜30万円で募集をしているのですが、半分程度しか決まっていません。そこでダムではどうかと考えたとき、公園より高くしても買い手がつかないだろうと思ったのです。」

公園の命名権が30万は一般的な感覚でも安いと分かる。それでも買い手がつかないというのは、PRや営業が絶対的に不足しているのではないか。営業していいものかどうか分からないけど。

個人的には、公園やダムのような大規模のネーミングライツにも憧れるけど、たとえば県道の橋ひとつを年間10万で、くらいの気軽さだったら一般人でも参加できるし、名前をつけたい人は多くいるのではないかと思う。

とりあえず、一般人が命名権の購入をするのが難しいということが分かって残念だけど、とにかくこの試みは応援したい。不況の折、ダムの名前を買いたいなんて企業がどのくらいあるか分からないけど、根気よく続けて欲しいと思った。

「２月いっぱいで一旦締め切って、詳細を詰めて４月1日からの施行を考えています。もし今回決まらなくても、募集期間の延長も含めて、県としては今後も積極的に続けていきたいと思っています。もし好評であれば、対象を県のほかのダムにも広げていきたいと思います。」

契約が締結されたら、県知事が直接記者発表することになるのだという。それは興奮する。ぜひいい企業が決まることを祈りたい。

そこでひとつ提案があって、ダブルアーチの大倉ダムは上空から見るとマクドナルドのマークに似ている。ということでぜひマクドナルドに営業かけるといいと思うのだけど。

「（笑）確かにいいですね。こちらからは営業していませんが。」

もし「マクドナルド大倉ダム」なんてなったら毎日ビックマック買って応援してしまうよ。