これで室戸岬と足摺岬、両方の難所を踏破する事ができた。いずれも前の札所から80km程。これらだけでも160kmの距離である。いやぁ、長かった。
金剛福寺でお参りを済ませて納経をした際、お寺の方から「お疲れ様でした」と一言添えて頂いた時には、本当に感無量だった。その達成感は、これまでに無い程である。
足摺岬を極め、もはや終わったも同然と思っていた高知県。……しかし、この「修行の道場」は、最後の最後まで私に修行を強いたのだった。なんてこった。
月山神社と延光寺、そして「菩提の道場」へ
足摺岬先端の金剛福寺から先、遍路は以下に述べる二通りのルートから、どちらか一つを選んで進む事になる。
一つは、足摺岬の東岸を戻り、眞念庵から北西に向かって39番札所の延光寺へ行くルート。もう一つは、足摺岬の西側を進み、宿毛に出てから延光寺へ行くルート。前者の場合は、延光寺でお参りをした後に篠山神社へ参る必要があり、後者の場合は、延光寺に行く途中で月山神社に参る必要がある。
このうち、私は後者の西回ルートを選択した。だって、一度通った道を再び戻るよりは、まだ歩いた事の無い道を行った方が、楽しいじゃないか。そう思ったのだ。 |