見守るというポジション
その後も彩里ちゃんのオフィス体験は続いた。本当にオフィスが似合う。彼女も楽しそうに働いている。パソコンで作業して、それをプリントアウト。それを社長に見せるなど、スムーズな作業だ。
上の写真には全て僕が写り込んでいた。基本的に作業を教えたりするのは、ライフネット生命の社員の方。実際に仕事ができる方々なのでそうなってしまう。僕が準備したのは、味噌や鏡にサヨナラと書くための口紅など、全く役に立たないものばかり。なので、結局は見守るという役目になる。
この日のことを忘れた彩里ちゃんがこの写真を見たら怖がるだろうな、と思う。しかし彩里ちゃんはライフネット生命で働くのが楽しいようで、もしお医者さんにならなかったら、ここで働きたい、と言っていた。大人っぽい一日を過ごすという夢が叶ったのではないだろうか。
いいことした!
後日、彩里ちゃんのお母さんからメールをもらった。そこには名刺や社員証を枕元に置いて寝ていたり、この日のことを何度も話したりする、彩里ちゃんの喜びが綴られていた。とても幸せだったそうだ。なんだかそのメールを読んで泣きそうになった。当日の写真を見ても、最初の緊張とは違い後半は本当にいい笑顔をしている。
本当はプレゼンテーションでしっくり来る指し棒を探す、というよく分からない企画があって、ネギやごぼうを準備していたのだけれど、それを出さなくてよかったと思う。思い出が美しくならない可能性が高い。全てにおいて綺麗にまとまったのではないだろうか。
最後にその日撮った写真をプリントしてアルバムにして彩里ちゃんにプレゼントした。とても喜んでくれた。子供の夢を叶えるというのはいいことだ。ここで働きたい、という彩里ちゃんの発言がそれを裏付けている。実は僕もここで働きたいと思った。その夢は将来、偉くなった彩里ちゃんに叶えてもらいたいと思う。この日の恩を忘れずに、権力を持ってくれ! と思いながら記念撮影をした。
ネギは指し棒にならない
安藤さんと何回も打ち合わせをして、この日をむかえた。最初に立てたスケジュールとは異なったけれど、とてもよい方向に向かったと思う。子供の笑顔は素晴らしい。純粋なのだ。ちなみに彩里ちゃんが帰ったあと、僕らだけでやる予定だったプレゼンテーションに適した指し棒を探す企画をやったのだけれど、本当にやらなくてよかったと思う。確かにそこにも純粋な笑いはあったけれど、その笑いは失笑である。その笑いに純粋さはいらないのだ。
次回は男の子の夢をかなえますよ。