絵を描き終わったあと、ふと胸ポケットから、数枚の写真を出すA先生。
「これ、クイーンエリザベス号に乗った時なんだけど…」
「はい」
「動くホテルみたいな船だから、ゴーゴーホールなんかがあって、コーラスを歌う娘さんたちがいて、彼女らが僕のファンだというので、毎晩、楽しく一緒にお酒を飲んでいたんだけどね」
「はい」
「で、それがその時の写真で。……僕は、写真を撮るのが趣味でね」
「はい」
「これなんか、宮沢りえちゃんと撮った写真で。…今日は、会場に、こんなに若い娘さんが来てるなんて、思わなかったから…」
「……要するに、女の子と写真が撮りたいんですね?
分かりました! もう、お好きなコを選んでください! 何しちゃってもかまいませんから!」
そんなわけで、フリオ・イグレシアスのように、華麗に会場を回遊する先生(撮影しているのは、A先生の担当編集者さん)。
お客様、大喜び!!
「奥さんには内緒だよ、ゴハン出してもらえなくなっちゃう(笑)」
巨匠なのに、お茶目な先生でした。
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