炎の上でんぐりがえし
イモも焼けた。炎も堪能した。
じゃあ消火して帰ろう………と火を小さくしていくと、石原さんがつぶやいた。
「僕は朝まで、火の番をします。皆は帰ってもいいですよ………」
え?
石原さんは、ビール数本で、かなり酔ってしまったようだった。以前、飲み会でご一緒した時は、こんなに弱くなかったのに。
なぜだ。炎の魔力に酔ってしまったのだろうか。
「いや、石原さんを置いて帰れません。申し訳ないけれど、消して一緒に帰りましょう」
そう私が言うと、石原さんは唐突にでんぐりがえりをした。
炎の上に!!!!!
「うわーーーーー大丈夫ですかあ!」
「………………あったかかった………です……」
背中に火は付かなかった。灰が付いただけだった。
消火はきちんと
私たちは水をまいて火を消し、念のために足で炭を踏みつぶした。
帰り道、自分がケムリくさいのに気がついた。でもけして嫌な匂いではなく、木の匂い、薫製の匂いに近かった。
「そうか。『北の国から』のゴローさんは、この匂いがしてたんだね。
だから、しゅうちゃん(宮沢りえ)は、抱きついたときに、『おとうさん、いい匂い』って言ったんだ。今まで気がつかなかった」
と、私の友人が言った。
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