3日目
品川駅。駅は数年前にリニューアルし、きれいな飲食店モールができている。一度ここで飲んでみたかったのだ。なぜっていかにも「勤め人」という感じではないか。
しかしここで見つけたのは「ほろ酔いセット」という名前ではなく、「おつまみセット」。
ダイニングバー風の店である。
16:00。お茶しているお客がぽつぽつ。入店と同時にメニューを入れ替えに来て、店内の明かりが少し落とされた。そしてお客は誰もいなくなった。
和服の上品そうなおばさまが一人で入ってきた。お、ほろ酔い仲間出現か?あとでそばを通るときにチラッとのぞいてみたら、ナポリタンみたいなスパゲティを食べていた(酒なし)。やはり遠いお方だった。
私の後ろに2人組のおばさんが座り、セットを頼んでいた。女どうし、けたけたと楽しそうである。
・・・こっちは文庫本でも読もう。
読みながらも、枝豆をピクンピクンほおばったり、イカリングを生ビール一杯との配分を考えながらかじったりと、忙しくてしょうがない。話す相手がいないので、口に運ぶペースも早くなる。本の内容が全然頭に入らない。何をそんなにあせって飲んでいるのか、自分でもよくわからない。
ひとりでほろ酔いセットを飲む楽しみってなんだろう。どうしても飲みたいとき、帰り際にささっと飲んで、仕上げて帰るのか。あるいは、ひとりの時間を長く楽しむために、本など読みつつ飲むのがいいのか。
私はしいて言うなら前者のほうかもしれない。しかしこの寂しさはどうしたらいいのだ。文庫本じゃなく、今度は楽しい図版やパノラマ図解の入った本にしてみようか。同じか。
メニュー:酒1品、枝豆、イカリング(日替わり)
値段:600円
ほろ酔い度:見えにくいが、「少し飲みすぎ」と出た。
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