次に、大久保工科大学との異名をとる、「W大学RK学部」のカフェテラスに行ってみた。
私は10年前、この学校の第二文学部というところに通っていたのだが、理系の友達はひとりもいなかったので、こちらのキャンパスにも来たことがなかった。
愛校心などないつもりだったのに、一応自分がOBだと思うと、妙にずうずうしい気持ちでいられた。
「おう若人たちよ、カレー食べてるかー?」
そう心の中で叫びながら、カフェテリアに向かう。ここも半地下であった。
メニューのショーケースを見て、また驚いた。
ト………トンカツだらけだ!
「ロースカツ」「ヒレカツ」「チキンカツ」「ジューシーカツ」「味噌カツ」「チキン味噌カツ」「和風おろしカツ」「おろしチキンカツ」「キムチおろしチキンカツ」「チーズカツ」「ごまだれチキンカツ」「なめ茸おろしチキンカツ」……。
この他にも別に、「洋風カツ煮」と「カツカレー」があった。
カツの下の段をみても、
「カルビクッパ」「ヒラメえんがわ丼」など、胃腸の調子が悪いとキツいだろうと思われる、若々しいメニューばかり。
見ているだけで胸焼けしそうだ。
カレーは3サイズあった。S190円、M250円、L320円。 私は迷わずSをオーダー。
ここは好きなものをカウンターで注文して、レジに持っていって、現金で払うシステムだ。
ぱく。
……辛くない。肉はブタの固い部位だと思うが、煮込まれすぎていて原形がない。タマネギも入っているようだが、形は見当たらず。ニンジンも1センチ以下の小さな破片。これなら野菜ギライに食べられる。 というか、子供向けのレトルトカレーに、味が似ている。 お米がゆるかった。赤くない福神漬が付けてあって、それだけが妙に美味しかった。
「辛いものが食べたいときには、クッパを食べるのかな?」「やっぱ綿谷カレーとかのほうを、食べにいったり、するんだろうか」
などと考えながら、周りを見回す。しかし男ばっかしだ。
そして、よく見ると8割の人がトンカツを食べていた。
音楽がかかっていた。ハードロックだ(ブルース・ウィリスが隕石に穴を掘るハリウッド映画のテーマ曲で、エアロスミスだった)。
ゆるい! 雰囲気がゆるい!
でも居心地は悪くなかった。
「来世生まれ変わるなら、理系女子がいいなー、そしたらモテモテなんだろうなー」 なんて妄想した。