100万本、咲きまくり
……。圧巻。河原の砂利から一段上がった林の部分に木々の合間をぬって曼珠沙華は咲いていた。ぶわぶわぶわぶわぶわぶわぶわぶわっというこの大群具合。
視界の70%が赤い。花の造りが細かすぎて視力がついていかない。
ややグロテスクともいえそうな造形とお彼岸の季節に咲きみだれるという性格上、あまり好まれなかった時代もある花だ。花言葉は「悲しき思いで」「過ぎ去った日々」……。それが咲き狂い。
どうしていいか分からず、とりあえずデジカメのシャッターを切りまくった。切りまくりすぎて電池が切れた。
ハイカーの皆さんはカメラマンでもある方が多いようで、しきりにシャッターを切っていた。しっかりと三脚を立て、素人目にも高そうなカメラを構えている。望遠レンズもでかいし長い。片手で握れるぐらいの小さなデジカメを携える私は押されっぱなしだ。
パンフレットなどに使われている写真が撮れるという撮影ポイントはずらっとカメラを構えた人々が列になっていた。列の後ろにも人が並んでいて、やや殺気すら。アイドルの撮影会ってこんな感じだろうか。本気の熱気むんむん。
週末にはオフィシャルな撮影会も催されるらしい。ハイキングとカメラの蜜月関係には薄々気が付いていたが、それが私の地元で展開されているとは。
「あらあ、いいわー、今年はいいわー」
そんななか、手ぶらにスカートでいかにも地元からサクっときましたルックの母はあくまでマイペースだった。過去3回見たうちで今年はベストだそうです。
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