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特集


ロマンの木曜日
 
ラーメン代の代わりにお皿を洗ってもいいですか?

長崎ちゃんぽんのおおはし
ヨさん(左)に事情を説明してくれているロエナさん(右)
うん、ダイジョブよ

本場の長崎ちゃんぽん屋で

三軒茶屋から渋谷方面に国道246号沿いを歩いていると、ラーメン屋ではないが「本場の味」と銘打った長崎ちゃんぽん屋を見つけた。「長崎ちゃんぽん おおはし」さんだ。

駄目もとで店内に入る。
店長さんらしき男性がカウンターの中にいて、奥のテーブル席には外国人らしき女性が1人で座っている。

「すみません、変なお願いなんですけどラーメン代を払う代わりにお皿を洗いたいと思ってまして……」

店長さんはニコニコしたまま何も言わない。
ん? すると奥の女性が僕に声をかけてくれた。

「店長さんは、あまり、ニホンゴ分らないネ」

どうやら店長さんは中国人で日本に来てまだ日が浅いらしい。声をかけてくれた女性はここの常連でロエナさんという。フィリピン出身だが旦那さんが日本人なので日本語は分る。

「私が説明するから、大丈夫ね。ヨさん(店長さんの名前)、いい? この人お皿を洗う。アナタ、ラーメンをあげる」
ロエナさんがそう説明すると、ヨさんはさっきよりも大きな笑顔で
「うん、ダイジョブよ。面白いネ」
と言ってくれた。

「いいんですか?」
ゆっくりとした口調で確認すると、ヨさんは何度も頷いた。

ありがとうございます!!


僕の為にちゃんぽんを 2人で作ってくれている

長崎ちゃんぽん700円
うまいっす!

早速ちゃんぽんを作り始めてくれるヨさん。
途中、奥さんも帰って来て、一緒に僕の為のちゃんぽんを作ってくれている。2人とも中国の四川省の出身で、1年前に日本にやって来てこのお店を構えたのだという。

と、ここでふと疑問が浮かぶ。中国出身なのに何故長崎ちゃんぽんなのか?

ロエナさんを通じてヨさんに聞いてみると、中国のラーメンには具がいっぱい乗っていて、それが長崎ちゃんぽんと似ているとのこと。なるほど。

5分後、ヨさんの長崎ちゃんぽんが出来上がった。
たっぷりな野菜とエビやアサリも入ってる。そうか、四川のラーメンはこんな感じなのかあ……。日本の三軒茶屋で遠く四川を思いながらちゃんぽんをすする。

「オイシイ?」
「ええ、凄くおいしいです」
正直、まだお腹はいっぱいだったのだが、本当においしかったのであっという間に全部食べた。

そして僕はカウンターの中へ向かう。
ちゃんぽん700円分を労働でお支払いするのだ。



 

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