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特集


ひらめきの月曜日
 
自分の会話リスニング

新メンバー加入、長男(高2)

ここでメンバー交代。中2の弟に代わり、高2の弟が会話の輪に。


バイトを終えて帰ってきた弟を交え

タイトル:明日も早い(hayai.mp3)
帰宅した弟、ご飯を食べながら新聞を読んでいる。その側に私。少し離れたキッチンに母。

(文字色黒:私)(赤:母)(青:弟)

「明日も早いのー? ひろし、ひーろし」
「は?」
「明日も早いの」
「はあ(注1)
「明日もひち、7時?」
「はあ」
「なんでそんなはや」
「で、お弁当持ってくの?」
「持ってきたい」

「ちょっとい、ちこちゃん一度とめて」
「なにを? あ、はいはい」「ガスふんー(注2)
「なんでそんな早いの?」
「キュウタイがせまっ、あれだから」「なに」「委員会だから」
「キュウタイの」「ああ」「球技大会」「そうなんだ」

考察
聞き所は最後の“キュウタイ”の部分のスピーディーにたたみかける展開。会話というものがこんなにもエキサイティングなものだとは。

注1:反抗期特有のややわざとらし感のある受け答え
注2:言葉の末尾で息を抜くと、書き出したときこうなる

続いても同じキャスト、同じシーンから。話題は弟の納豆愛へ。

タイトル:納豆(natto.mp3)
スキヤキを食べていた弟が白飯をおかわりした。納豆を所望。

味噌汁茶碗との対比に注目。ここに納豆をかけたいと弟。

「毎食納豆たべんの」
「毎食って、毎夕ね」
「毎夕」
「ほとんど」
「納豆好きなんだ」

「ああー、好きか」
「好きと言うよりなんか」
「好きなんじゃん」
「好きなの、好きなの?」

「好き?」
「健康のため」
「それが日常になっちゃったから。なんか納豆がないとおかしくなってきた」
「あそうなんだ。うふふ」
「うーん、なれてるからもう好きとか嫌いとか」「うん」「ないとなんか」
「ううん」
「ものたりない」
「なんか物足りない感じ」
「うん」

「なんかわかる」

考察
久しぶりに会ったことで、姉、弟間に微妙な緊張が。お互いに照れてる。
それにしても「好きだ」を連発するような会話がこんなにもありふれた日常に転がっているのはおどろきだ。


さらに会話は続きます。話題は新聞の連載漫画へ。

タイトル:新聞のマンガ(shiinbun.mp3)
我が家は読売新聞を購読。日曜版に「あたしンち」が連載中。マンガとエピソード集が交代で毎週連載されている

「日曜版あるよあい、ちこちゃん」
「あー見たい」

「よいしょ」

「なー、“あたしンち”がマンガじゃない」

「(口笛)先週だったよ、マンガは」
「ぬー」
「一週おきなんだよね、大変なんでしょうね毎週書くのは」

「まいにちのあれ、マンガなんか大変だよね」

  間奏

「ん、大変だよそりゃー」
「サザエさん、胃が痛くなってね(注1)
「うーん」

考察
間奏の間、私は新聞を読んでいた。間をおいて、瞬間的に会話に戻るという現象は確かに家庭の会話でよく見られる。

また注1、胃が痛む思いをして連載を続けたのはサザエさんではなく作者の長谷川町子さんだと思うのだが、誰もツッコむことなく会話は流れた。ツッコミ不在も家庭会話ならでは。


最初のデパートの店員さんとの会話は、言うなればアマチュアバンドの練習だ。お互い探りながら言葉を繰りだしていく。それに比べると、家庭の会話は自由なジャズのジャムセッションのようだ。奔放でどこかで繋がるような、繋がらないような、永遠にゆるゆる続いていく感じ。

そして次。最後に聴いていただく曲はこれまでとはうって変わって、交錯の無いキャッチボールのような美しいセッションです。現場は再び街へ。



 

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