「この人は小林旭専門だから」
間奏の間、ママがそう言うのを聞いて、男性は頭をかいた。 そこからママと男性の歌合戦が始まる。
僕は聞き手にまわり手拍子で盛り上げる。
小林旭の歌を何曲か歌い終え、男性の気分は最高潮に達していき、僕もすっかり盛り上がる。
最終的に肩を組み一緒に歌いながら酒を交わすまでに至った。
「見知らぬ町のスナックで友達を作る」
このミッションは十分に達成出来たのではないだろうか。
しこたま飲んで歌って友達も出来て、お会計は3000円ポッキリ。 いやあ、やっぱりスナックは最高だ、なんて思いながらホテルに帰ってから気がついた。そういえばあのおじさんの名前を聞いてなかった。友達なのに。
でも大丈夫。4年後のシャングリラ30周年パーティに誘われたので、そこで再会出来るでしょう。
楽しい夜をありがとう、ママ。そして新しい友達。