トラップその4:丸の内で
ここから歩いて5分も行けば会社である。しかし、うっかり新しい駅前のビルに吸い寄せられてしまった。
が、中でお茶をするとか、ウィンドウショッピングとか、そういうことではない。ああ、最新のスポットで無駄なことをしたい、そういうことだ。
中のお客さんと目が合った。
しかしなぜあのようなデッドスペースができるんだろう、と考えたが、それはこっちがわにとっての「デッド」であって、内側の店舗としてはデッドではないのかもしれなかった。
では、ビルの中へ入ってみる。
正面口で目に付くのが、フロア案内板だ。平面図や鳥瞰図、写真など、館内がいくつかの案内板に分かれて表示されている。
だんだん「無駄なこと」も内容が限られてきた気がする。「いじる」「乗る」「裏にまわる」といったところだろうか。
さあ、もういい加減にして会社へ向かわないといけない。いけないのだが。
消火栓といえば、こんなものもあった。なんだこの小ささは。ホテル用ポットか。
ここまでで家から2時間かかった。ふつうにシャキシャキ通勤していたら30分のところだ。意外と長々と無駄なことばかりやっていられないものだと思う。
それに、予想以上に「無駄なこと」というのが見つけられず苦労した。企画した段階では「どんな無駄なことをやってやろうか」という期待で震えていたものだが、子供の視点から遠ざかって久しい自分にはなかなか難しかったのだった。
つまらん大人になってしまったもんだ。